メルセデスAMGのニコ・ロズベルグが、自分にとって理想的なチームメートは今後もルイス・ハミルトンだと語った。
■ドライバー体制再考も示唆したメルセデスAMG
2014年から導入された新ルールにうまく適応し、最強のF1カーを作り上げたメルセデスAMG。2年連続で全19戦中16勝をあげるという絶対的な強さを誇り、ドライバーズタイトル争いもハミルトンとロズベルグに絞られる状態となっていた。
結局、ハミルトンがロズベルグを抑えて2年連続でF1チャンピオンに輝いたものの、チームメート同士での戦いが激しさを増すとともに2人の関係も悪化、チーム内の雰囲気にも悪影響を及ぼしかねない状況を迎えていた。
こうした状況のもと、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターを務めるトト・ヴォルフは、2人の関係悪化によりチームの利益を損なう可能性があるようならドライバーラインアップの見直しも考える必要があるだろうと警鐘を鳴らしていた。
現実的な部分に目を向けると、現在の契約が先に満期を迎えるのはロズベルグのほうだ。だが、ヴォルフはハミルトンの契約の中にもチームに損害を及ぼすようであれば契約解除ができるとした条項も含まれていると示唆している。
■ベストチームメートはハミルトン
そんな中、ミュンヘンの『TZ』紙から、メルセデスAMGでの今後を見据えて、誰が自分のチームメートであって欲しいかと質問を受けたロズベルグは、次のように答えた。
「ルイスだね。彼は強いドライバーだし、チームもずっと成果をあげてこられたからね」
だが、2015年シーズンの途中では、ロズベルグは公然とハミルトンは時としてチーム全体のことよりも、自分のことしか考えないようなドライバーだと不満を口にしていた。
しかし、ロズベルグはその件について次のように説明を行った。
「そういう印象は完全に正しいというわけではないんだ。ドライバーというものはチームを成功に導かなくてはならない。もしチームが、そのドライバーが自分のことしか考えていないと分かったなら、すぐにすべてがうまく機能しなくなるよ」
■チームの利益が最優先
一方、ハミルトンのほうも、メルセデスAMGのガレージ内に壁を設けてハミルトンとロズベルグを明確に分断すればもっとやりやすくなるだろうという冗談を語ったこともある。だが、ロズベルグは次のように続けた。
「絶対そんなことにはならないよ。それはチームにとってよくないからね」
「僕たちはメルセデスAMGに勝利をもたらすためにここにいるんだ。チームが作った条件の下で僕たちがお互いに戦うことは緊張を高めることにもつながるのは確かだ。だけど、それによってチームが一番利益を得ているんだ」
■2015年シーズン終盤の復調理由は?
ロズベルグの態度が突然柔軟なものへと変わったのは、2015年シーズン終盤に6連続ポールポジションを獲得し、最終3レースではポール・トゥ・ウィンを達成するなど調子が大きく上がったことによるものかもしれない。
ロズベルグはシーズン終盤の好調に関し、次のように語った。
「もちろん、僕は新しいタイヤを発明したわけじゃない。恐らく、100%の力を取り戻しただけだと思う。それまでは98%しか出せていなかったんだ」
中には、第16戦アメリカGPで、先頭を走りながら自らのミスで勝利を逃し、ハミルトンのタイトル確定を許してしまったことが奮起をうながすきっかけとなったのではないかと見ている者もいる。
ロズベルグもこれについて、「オースティンの後で自分自身にこんなことをしているわけにはいかないと言い聞かせたよ」と認めながらも、次のように続けた。
「だけど、それまでも常に接戦だったんだ。いつもわずかコンマ1秒ほどの差だったし、最後のほうでは僕が優位に立ったということさ。その理由を説明するのは難しいけれどね」
■2016年には成長したロズベルグを見せられる
2015年終盤の活躍をベースに、2016年には「新たなロズベルグ」が見られるのではないかと期待する者もいる。だが、ロズベルグは次のように続けた。
「基本的にはノーだよ。だけど、もっと成長したロズベルグを見せられると思う。このシーズン(2015年)から学んだドライバーをね。そして、最後のレースでの優位性を新しいシーズンにもつなげていきたいと思う」
そう述べたロズベルグは、次のように締めくくった。
「僕にとって、新たなシーズンはすでにずっと前から始まっているんだ」