レッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー兼ドライバー育成責任者)が、メルセデスはレッドブルのシャシー性能を分析した結果、自分たちにエンジン供給を行うのを見送ることにしたのだと主張した。
■エンジンメーカーはレッドブルを恐れているとマルコ
「タグ・ホイヤー」という名前には変わるものの、結局2016年もルノーエンジンを搭載することになったレッドブル。だが、マルコは、メルセデス、フェラーリ、ホンダらがレッドブルに対するエンジン供給を拒否したのは、彼らがレッドブルの力を恐れたためにほかならず、それは「誇りにさえ思える」ものだと『Servus TV(セアヴスTV)』に次のように語った。
「ハンガリーGPではライバルたちにどれほどのパワーがあるかがすぐに分かるんだ。そしてメルセデスAMGは、我々のシャシーのほうが優れているということを知ることになったのさ」
「これによって我々に対抗しなくてはならないという意識がさらに強くなってしまい、その結果として(エンジン供給の)契約は実現しなかった」
「誰もが我々を恐れていることに誇りさえ感じるよ。だが、FIA(F1統括団体である国際自動車連盟)も今ではエンジンメーカーがどのチームにエンジンを供給するかしないかを決定することは受け入れられないと認めている」
そう述べたマルコは、次のように付け加えた。
「我々の苦難が、今後F1をよりよくしていくためのきっかけとなることを願っているよ」
■レッドブルはわがままなだけだとメルセデス
だが、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターを務めるトト・ヴォルフは、レッドブルが自動車メーカーたちによって行き詰まりの状況に追い込まれたのだという説を強く否定している。
「レッドブルはルノーというエンジンを持っているじゃないか。何を話しているのか分からないね」
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ったヴォルフは、次のように続けた。
「フェラーリとメルセデスはさまざまな理由によって支援を行わなかった。だが、それによって彼ら(レッドブル)がF1から撤退を余儀なくされたわけでもない」
「彼らはただ自分たちが欲しかったエンジンを手に入れられなかっただけだ」
「誰も、何も恐れてなどいないし、同じ条件のもとで戦いたいと思っている。だが、レッドブルはその予算を主にシャシーの開発につぎ込みながら、最高のエンジンさえも手にする権利があると思っているんだ」
「それは、我々の信条とは異なっているよ」
そう語ったヴォルフは「もうひとつの観点は、トラブルを抱えたときにパートナーとどう取り組むかということだね」と付け加え、ルノーを強く批判し続けていたレッドブルの姿勢に対しても批判を行った。
一方、今回のレッドブル問題をひとつの発端として、F1が抱えるいくつかの問題に関し、FIAがF1最高責任者であるバーニー・エクレストンとFIA会長のジャン・トッドに対してその対策案策定を「全権委任」するという状況に至っているのも事実だ。マルコが示唆したように、今後現在のエンジンルールが大きく変えられる可能性もないとは言えない。
このことに関しては、ヴォルフは次のように語るのみだった。
「最近出てきたいくつかの件に関しては、コメントは行わないことにするよ」