マノー・マルシャが2016年のドライバー体制を発表できるようになるまで、あと“数週間”かかりそうだとメルセデスAMGのトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)が語った。
2016年からメルセデスエンジンを搭載することになるマノー・マルシャだが、ヴォルフはそのマノー・マルシャのシートにパスカル・ヴェアラインを座らせるための交渉を続けており、その内部状況にも詳しいようだ。
現在メルセデスAMGの控えドライバーを務める21歳のヴェアラインは、メルセデスの秘蔵っ子と呼ばれているドライバーで、2015年にはDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)で史上最年少チャンピオンにも輝いている。
メルセデスとしては、すでにF1カーでも何度かテストに参加しているヴェアラインを2016年にF1デビューさせたいと考えているものの、現実的には残されたシートはマノー・マルシャしかない。
ヴェアラインは、『Sueddeutsche(ズードイチュ)』紙に次のように語った。
「もちろん、F1でドライブできればうれしいよ。だけど、それは僕が決められることじゃないんだ」
現在、マノー・マルシャに関しては2016年のドライバー候補として数名の名前が取りざたされている。今季ドライバーを務めたウィル・スティーブンス、アレキサンダー・ロッシ、それに最近ではインドネシア政府の支援を取り付けたGP2ドライバーのリオ・ハリアントの名前も挙がってきている。
ヴォルフは、『SID通信』に対し「4週間か5週間ほどではっきりするだろう」と語り、次のように続けた。
「今の状況は、我々としては彼(ヴェアライン)をきちんとしたコックピットに座らせたいと考えている。パスカルはF1でもうまくやれるだけの力を持っている。だが、そのためにはすべてのことがうまく運ぶ必要があるんだ」
ヴォルフが言う「すべてのこと」の中で、とりわけ大きな問題は“財政面”に関する交渉だろう。マノー・マルシャでは2016年のシート料として1,500万ユーロ(約20億円)を要求しているようだと言われている。
いくらメルセデスとは言え、控えドライバーにシートを与えるためにこの金額を出すのは難しいようだ。
「もしうまくいかなければ、パスカルはDTMにとどまることになるだろう。その場合は我々は自分たちのF1カーを使ってできるだけ長い距離を走行できる機会を彼に与えることになるだろうね」とヴォルフ。
ヴェアラインも次のように続けた。
「もし来年がだめなら、僕はよろこんでDTMを続けるし、2017年にまたチャンスをうかがうよ」