FIA(国際自動車連盟)の技術部門責任者を務めるチャーリー・ホワイティングは、空力だけでなくタイヤのグリップ向上でF1のスピードアップを図ると語った。
F1は2017年か2018年からルールを大幅に変更して、1周あたり5~6秒のペースアップを目指している。
■タイヤのグリップ向上を望むドライバー
これについてチャンピオンのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、ウイングを大きくするなどしてダウンフォースを増やせばラップタイムが大きく伸びるという見通しを耳にしたが、それは間違いだと批判していた。
「最悪の考え方だし、何をしようとしているのか分かっていない証拠だよ」
現在F1が抱える最大の問題は、前のマシンに近づいて走れないことだとハミルトンは主張した。
「ドライバーが望むのは、タイヤのグリップ向上と、前のクルマからの乱気流減少だ。そうすればより近づける」
しかし、ルールを検討しているFIAや関係者も、ダウンフォースだけが解決策だとは考えていない。
ルノーのレミ・タフィンは、ルールを変更すれば、現在の仕様のままでもエンジンのパワーアップは可能だと『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に話している。
「燃料流量を増やし、回転数の上限をなくせば、1000馬力を発生することも可能だろう」
■ダウンフォースには頼らないとホワイティング
ホワイティングは『F1 Racing(F1レーシング)』誌のインタビューで、ダウンフォースよりシャシーとタイヤの変更によってスピードアップを図ろうとしていると話した。
「われわれはほとんどのスピードをタイヤのグリップから得ようと努めており、ダウンフォースにはあまり頼らない方針だ」
「クルマの幅を広げれば、現在のタイヤのままでも1秒は稼げるだろう。(タイヤの幅が広がり)路面との接触面がさらに増えるのだから、少なくとも5~6秒のうちの半分はタイヤグリップの向上で稼げると自信を持っている」
より大きなタイヤになる2017年に向けて、ピレリには来年、最高12日間のタイヤテストを行うことが認められている。