今週、今季のF1最終戦が行われるアブダビにおいて、メルセデスAMGがF1を統括するFIA(国際自動車連盟)の競技委員会に対し、カスタマーカーに関するルール解釈の明確化を求めたと伝えられている。その内容は、特に風洞施設の利用に関する点に主眼が置かれているようだ。
■フェラーリとハースの関係に疑問を持つメルセデス
現在のF1ルールでは、参戦するチームはそのF1カーのシャシーを独自に設計・製造しなくてはならないと定められている。今のルールでは、ほかのメーカーが製造したシャシー(カスタマーカー)を購入して使用することは認められていない。
メルセデスが疑問を呈しているのは、フェラーリと来季からF1参戦を開始するハースとの関係だ。ハースは、イタリアのシャシーメーカーであるダラーラ社との協力のもとに自社でシャシーの設計・製造を行っていることになっている。だが、フェラーリとの技術協力契約のもと、シャシー製造にあたっての風洞テストはフェラーリの施設を利用している。
こうしたことから、ハースは事実上フェラーリの“Bチーム”であるとの見方も強い。
■フォース・インディアも確認を要求
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が伝えたところによれば、現在メルセデスエンジンを搭載しているフォース・インディアも、FIAに対してメルセデス同様の申し立てを行ったという。
メルセデスやフォース・インディアが疑いの目を向けているのは、現在のルールで1週間あたり25時間までと厳しく制限されている風洞テストにおいて、フェラーリがルールの抜け穴を利用してハースのテストを自分たちに有利に利用しているのではないかということだ。
■今後こうした技術提携が増える?
フォース・インディアのテクニカルディレクターを務めるアンドリュー・グリーンは、次のように語った。
「エンジニアたちが風洞で50時間の作業を行っているかもしれないんだ。25時間はひとつのチームのために、そして残りの25時間は別のチームのためにね」
「その(テストの)結果をそれぞれのチームで分け合うことはないにしても、そこで学んだことは頭に残っているわけだからね」
「だから、我々も今後どういう形をとることができるかを知りたいんだ」とグリーンは付け加えた。
仮にFIAがフェラーリとハースのような業務提携の仕方には問題がないと回答すれば、今後ほかのチームにもフェラーリとハースと同じようなパートナーシップを構築しようとする動きが増えてきそうだ。