エンジンメーカーは、現在のパワーユニットが抱える課題の解決に向けてFIAと共同で取り組むことに合意し、提言を1月までにまとめる。
FIA(国際自動車連盟)とF1最高責任者であるバーニー・エクレストンは、現行のV6ターボエンジンと並行して、低価格の代替エンジンを導入する計画を示していたが、この案は24日(火)にパリで行われたF1委員会で否決された。
ただし、「パワーユニットに関する複数の重要事項に取り組む方向で関係者が合意に至った」とFIAは声明で述べている。『Motorsport.com』が伝えている。
■4つの課題について解決策を探る
FIAの声明には、4つの課題が示されている。パワーユニットの供給保証、カスタマーチームに対する供給コストの低減、パワーユニット仕様の簡素化、エンジンサウンドの向上、である。
これらの課題について、現在F1にパワーユニットを供給する4メーカー(メルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダ)は、2016年1月15日までに共同で提案をまとめることになっている。
ただし、その結果によっては、今回否決された代替エンジンについて「再検討される可能性がある」とFIAの声明は述べている。
■実質エクレストンとFIAのねらい通り
FIAとエクレストンが代替エンジンを提案した背景には、パワーユニットのコスト高騰や、レッドブルのようにパワーユニットの供給を得られないチームが出るという事態に対する懸念があった。
今後まとめられる提案では、「メーカーが供給しなければならないチーム数の下限を明確にし、全チームがパワーユニットを確実に入手できるように」し、「供給コストを下げる方策についても提言する」と声明は述べている。
検討された方策は、早ければ2017年、遅くとも2018年には導入することで合意されている。
また、FIAとエンジンメーカーの最初の会合がF1アブダビGP(29日決勝)で行われることも声明は明らかにしている。
■代替エンジンはF1の破滅につながるとラウダ
エンジンメーカーとFIAが今回こうした合意に至ったのは、メルセデスAMG非常勤会長のニキ・ラウダによるところが大きいとドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は伝えている。
「このスポーツにとって良い解決策であり、正しい方向だ」とラウダは話す。
「異なるコンセプトのエンジンが2つある選手権など正気のさたではないし、F1の破滅につながっていただろう」