マクラーレンを離脱したばかりのケビン・マグヌッセンだが、有名なル・マン24時間レースを擁するWEC(世界耐久選手権)に参戦するポルシェでのテスト走行で手応えを感じたようだ。
マグヌッセンは今週、スペインのバルセロナで行われたポルシェのテストに参加。ライバルであるミッチ・エバンスやオリバー・ターベイとともに、ポルシェのWECマシンを用いた実質的な選抜試験に臨んでいる。
今年、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグがF1活動と並行してポルシェからル・マン24時間レースに参戦し、見事初優勝という快挙を達成したことが大きな話題となった。当初、2016年も同様にポルシェから出走し、タイトル防衛を狙うと語っていたヒュルケンベルグだが、F1の2016年カレンダーが修正され、新たに開催されるアゼルバイジャンGPとル・マン24時間の日程が重なってしまっていた。
これによりヒュルケンベルグは2016年のル・マン24時間出走を断念せざるを得ず、ヒュルケンベルグが座るはずであったシートが空く形となっていた。今回のテストは、そのシートに座るドライバーを決定するためのものだと言われている。
「現時点ではこのクルマが恐らく最も先進的なレースカーだろうってすぐに感じたよ。また乗るのが待ちきれないよ」
10日(火)に初めてポルシェがWECの最高峰カテゴリーであるLMP1に送り込んでいるプロトタイプマシンのステアリングを握ったマグヌッセンはそう語ると、次のように続けた。
「ものすごく楽しみにしていたんだ。そして失望することはなかったよ」
2014年にマクラーレンからF1デビューを飾るも、フェルナンド・アロンソの加入により今年は再び控えドライバーに降格されていたマグヌッセンにとって、世界最高峰のレーシングカーを運転するのは今年のF1開幕戦で、欠場となったアロンソの変わりにマクラーレン・ホンダMP4-30に乗ったとき以来だという。
そのときは、決勝開始前にグリッドに向かう間にクルマがトラブルでストップ。レースをスタートすることもできずに終わっていた。
そして、10月にマクラーレンとの契約解除が明らかとなった23歳のマグヌッセンは、ポルシェのプロトタイプカーに乗ったときの感想を次のように語った。
「最初はちょっと不安だったんだ。だけど、スタートしたとたんにそんな気持ちは消えてしまったよ。僕は最速タイムを刻むことができたし、それがすごく重要なことなんだ。3人のドライバーはみんな同じコンディションで臨んでいたから、誰にとっても公平な機会が与えられていた」
「本当にカッコいいクルマだね」
「F1ほどには速くはない。だけどそれは重量が重いせいなんだ。もしF1カーが同じ重量だったとしたらポルシェについていくこともできないだろうね」
そう語ったマグヌッセンは、次のように付け加えた。
「だから、そういう意味では、ポルシェのほうがF1よりもクルマの能力を引き出しているということになるね。純粋なパフォーマンスに関しては、これまでに乗ったクルマの中では最高だよ」