メルセデスAMGのエンジン担当エンジニアが、2016年にはルールの変更により、F1エンジン音が現在よりもさらに向上するはずだと語った。
2014年に、それまでの自然吸気V8エンジンに替えてV6ターボとERS(エネルギー回生システム)を組み合わせたパワーユニットが導入されたが、これによりF1の魅力のひとつであったエンジン音が小さく、よりマイルドな音質となったことが大きな批判の対象となっていた。
特に、このエンジン音問題を重大視しているのがF1最高責任者のバーニー・エクレストンだ。エクレストンは今週、FIA(自動車連盟)の元会長であるマックス・モズレーとの合同インタビューに出席した際、ドイツのテレビ局『ZDF』に次のように語った。
「ロシアでもまた(エンジン音について)批判的な意見をもらってしまったよ」
「我々はあのワクワクするような音を失ってしまった」
かつてのF1エンジン音を懐かしいと思っているのはエクレストンだけではない。実際にステアリングを握るF1ドライバーの中にもそういう声は多い。
例えば、フォース・インディアのセルジオ・ペレスは次のように語った。
「最近、メキシコで1970年型の古いBRM(ブリティッシュ・レーシング・モータース/かつてF1で活躍したコンストラクター)を運転したんだ。まるで音が僕の身体を突き抜けるようだったよ。F1にとって音はトレードマークの一部だよ」
F1統括団体であるFIAは、この音の問題を改善するために、2016年からはウェイストゲートと呼ばれる排気管を追加設置することを義務付けることにしている。そして、その排気管を1本とするか2本設けるかは各チームが選択できることになる。
これに関し、メルセデスAMGのマネジングディレクターを務めるアンディ・コーウェルは、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「これによって音が数デシベル大きくなるだろう。そして音の質も確実に改善されると思うよ」