F1第14戦日本GPで見られたメルセデスAMGのニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンのバトルは、両者の現在の立場を象徴しているようだ。
ロズベルグは、予選でポールポジションを獲得したが、スタート直後の2コーナーでハミルトンに外へ追いやられてコースオフ。一時は4位まで後退した。ハミルトンはそのまま優勝し、アイルトン・セナと並ぶ通算41勝目を挙げた。
「ハミルトンはセナと同じ。ライバルに対して冷血で無慈悲だ」とイタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は評している。また、『La Stampa(ラ・スタンパ)』は、「早くも2コーナーでハミルトンの勝利が決まったようなもの」と伝えた。
■エンジンがオーバーヒートしていたロズベルグ
ロズベルグは、ドイツの『Bild(ビルト)』紙に連載しているコラムで、スタート時にエンジンに問題を抱えていたことを明かした。
「出だしは良かったけれど、1コーナー手前でルイスが突然横に現れたんだ」
「ルイスに比べて僕のエンジンはオーバーヒートのためにパワーが落ちていた、とあとでエンジニアから聞いた」
2コーナーで自ら引く形になったことについて、ロズベルグは次のように説明している。
「みんなが何て言っているかは想像がつく。僕はヤワだとかそういったことだろう」
「でも、チームには、バトルの際に守らなければならないルールがあるんだ」
「だから僕はすべきことをしただけ。接触していたら、チームはゼロポイントで終わっていた」
■昨年の接触が尾を引いているとプロスト
4度のチャンピオンで、かつてセナと激しい戦いを繰り広げたアラン・プロストは、スパ・フランコルシャンで行われた昨年のベルギーGPがロズベルグの転機だったと見ている。そのレース序盤にロズベルグはハミルトンに追突し、レース後にチームから処分を受けた。
「スパ以前のロズベルグとスパ以後のロズベルグがいるように見える」
「あの一件から彼は立ち直っていないのだと思う。あれで実質的にナンバー2になってしまったのだ」とプロストはフランスのテレビ局『Canal Plus(カナル・プリュ)』に語っている。