日一日と時は過ぎ、レッドブルのF1撤退が現実のものになろうとしている。
「現時点でわれわれは(2016年の)エンジンを持たない」と話すクリスチャン・ホーナー。「危機的状況だ」
F1第14戦日本GPの期間中、その状況は非常に流動的でもあった。
大会前、エンジン供給元として候補に上がっているフェラーリとの契約は近しと言われていた。
ところが技術責任者ジェームス・アリソンやエースドライバーのセバスチャン・ベッテルら、チームの主要スタッフがCEOセルジオ・マルキオンネに意見。それが通って、今や彼らはエンジンを出すならあくまで旧型『Bスペック』のみの姿勢だ。
対するレッドブルは、絶対に受け入れないと突っぱねる。
「(ディートリッヒ)マテシッツ氏の方針は、はっきりしている」とホーナー。「第一級のエンジンを手に入れなければならないのだ」
マテシッツの参謀ヘルムート・マルコ博士も同じ意見だ。彼はドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌に次のように話す。「F1撤退のシナリオが固まってきた。ザウバーもハースも2016年仕様を受け取るのに、われわれには2015年仕様だなんてバカにしている」
しかしザウバーを率いるモニシャ・カルテンボーンは、同チームがフェラーリの最新型パワーユニットを使うのは当然と次のように主張する。「私たちはいつも、パートナーと常識的に接していますから」
ルノーに対するレッドブルの仕打ちは、それと対照的だ。レッドブルとルノーの契約終了が正式に発表されるのも時間の問題である。
非常勤のメルセデスAMG会長ニキ・ラウダは、次のように話す。「彼ら(レッドブル)は自ら墓穴を掘ったのだ。エンジン欲しさに頭を下げて回るとはね」
レッドブルにとっては、性能に苦しむホンダさえ敷居が高い。「ロン・デニスのおかげさ」とマルコ。デニスが抵抗しているのだという。
いずれ解決策を見出すことはできるかもしれないが、ホーナーの口ぶりからすると時間切れは間もなくだ。
「状況はすでに2週間前から深刻だ」と語るホーナー。「トロロッソはさらに危ない」
「打つ手もなく1日が過ぎると、それだけわれわれがF1に残るチャンスも無くなる。しかも、(2016年)シーズンの開始が2週間早まろうとしている。ますます危ないね」
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