マノーとスーティルは、亡くなったジュール・ビアンキ(当時マルシャ/現マノー)への思いを胸にF1日本GP(27日決勝)を迎える。
ビアンキは、昨年の日本GPで、雨が降り始めたレース終盤にコースオフし、作業中だった重機に激突。そのまま意識を取り戻すことなく、10か月後の今年7月に帰らぬ人となった。
日本GP■事故を間近で目撃したスーティル
事故現場に重機が出ていたのは、その少し前に同じ場所でコースアウトしたスーティル(当時ザウバー)のマシンを撤去するためだった。スーティルは間近でビアンキの事故を目撃し、医療スタッフの作業を見守った。
今年、スーティルはウィリアムズのリザーブドライバーとして再び鈴鹿に足を運ぶ。その思いを、『DPA』通信に次のように語った。
「人生が少し変わる瞬間というものがある」
「特に、ああいう事故を初めて間近で目撃すれば、なおさらだ。衝撃的な事故だったし、ずいぶん長い間、頭から離れなかった」
「永遠に消えないショックとは言わないけれど、自分たち(ドライバー)が実際どういうことをしているのかと思い知らされた」
「これまでとは違う気持ちだよ。僕だけでなく、直接・間接にかかわった多くの人たちも同じだと思う」
■「理解と配慮を求めたい」とマノー
特に、ビアンキが所属していたマノーのチームスタッフにとっては気持ちの面で難しいレースとなる。チーム代表のジョン・ブースは、「われわれにとって大きく気持ちの揺れる1週間になることは間違いない」とチームのプレスリリースで述べている。
「ジュールのことを思わない日は1日もない。彼はこのチームにとって永遠に大切な存在であり続ける」
「思い出は幸せなものばかりだ。われわれのレーシングカーで彼が成し遂げた信じられないほどの業績、その過程で共に過ごした楽しい時間」
「われわれはジュールのチームだった。そのことへの理解と配慮を求めたい。今週末は、再び鈴鹿へ戻るこの時を、内輪で静かに迎えられればと願っている」
「われわれは、どのレースでも彼の名前をクルマに入れてきた。そこに込められた思いと、ジュールとの素晴らしい思い出、このチームの強いきずな。それさえあれば、今週末、鈴鹿でジュールをたたえるためにレースができる」