レッドブルが長年のエンジン供給メーカー、フランスのルノーと手を切ると言明。F1撤退もやむなしと周囲に揺さぶりをかけている。
「今季限りでエンジン・パートナー(ルノー)と袂(たもと)を分かつことになったが、これは互いの合意によるものだ」とレッドブル社主でチームオーナーのディートリッヒ・マテシッツは、彼の地元ザルツブルグの『Salzburger Nachrichten(ザルツブルガー・ナッハリヒテン)』紙に話す。
「もはや提携を続ける意味はない。いつまでもチームをこんな状態に置いておけない」
マテシッツによるとレッドブルが関係解消を決めたのは「数週間前」だと言うが、その時点ではまだ、代わりの供給メーカー候補、メルセデス・ベンツならびにフェラーリと交渉中だったはずだ。
「現在われわれは、(ルノーとの提携に)付随する事柄について平和的に解決するよう努力しているところだ」とオーストリアの放送局『ORF』に語るのは、チーム首脳のひとり、ヘルムート・マルコ博士だ。
他方でメルセデス・ベンツは、レッドブルにエンジン供給はしないと彼らにはっきり断っている。
マテシッツも、次のようにそれを認めた。「最近までメルセデスとの(新)パートナーシップを望んでいたのだが」
現在、メルセデス、フェラーリ、ルノーの他にホンダもF1エンジンを供給しているが、ここまでの実績はルノーにも劣るのが実情だ。従って現状ではフェラーリがレッドブルにとって唯一の選択肢である。ところが、契約はまだ成立していない。
レッドブルとアウディが手を組むといった憶測も相変わらずだ。元F1チームオーナーのエディ・ジョーダンは18日(金)、フォルクスワーゲン(アウディを所有)によるレッドブルF1買収が間近と宣言していた。
それでもマテシッツは、2年ないし3年ならフェラーリと契約するのは「何の問題もない」と話す。
「このシーズンオフ、とくに開幕前のテストから、フェラーリの仕事ぶりはすばらしい」とマテシッツ。
だが、そんなフェラーリと手を組んでも表彰台がせいぜいで、F1世界選手権までは無理だとマテシッツは考える。
「(セバスチャン)ベッテルがワークスチーム(フェラーリ)でタイトルを取れないのなら、カスタマーのわれわれに可能なわけがない」
「だとしてもスターティンググリッド3列目には戻れるだろう。狙うは表彰台だ」
それもフェラーリと契約できればの話である。ダメならF1撤退しかない。シンガポールGPの週末に入ってもクリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコの両チーム首脳は、その危険性を繰り返し述べている。
「ポーカーのブラフとは違う。ほんとうに危ないから危ないと言っている」と話すマルコ。
さらにマテシッツは次のように言う。「もしF1を去ることになったら、全従業員に新しい仕事を見つけてやるまでだ」
そのレッドブルにエンジン供給を断ったメルセデスだが、チーム会長ニキ・ラウダは、彼もかつて所属したフェラーリが悪いようにはしないと次のように話す。
「実際のところ、(レッドブルの)誰も頼みには来なかった。だが私に言わせれば、フェラーリなら興味を示すと思う。レッドブルへのエンジン供給は可能なはずだ」とラウダはオーストリア『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』にコメントした。
■【結果】F1シンガポールGP予選の順位、Q1-Q2-Q3のタイム