今週末のF1シンガポールGP(20日決勝)では、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)も前戦イタリアGPで使うはずだった改良型パワーユニットを搭載することになる。
■圧倒的なパフォーマンスを見せたメルセデス新スペックエンジン
メルセデスAMGは、イタリアGPが行われたモンツァで最新スペックのパワーユニットを投入していた。これは残っていた7枚のトークンすべてを使ってパフォーマンス開発を行ったもので、その新スペックパワーユニットを搭載したルイス・ハミルトンは、ポールポジションからスタートすると、ファステストラップを刻むスピードで終始レースを支配し、今季7回目の優勝を達成していた。
ライバルたちも、その新パワーユニットのパフォーマンスに関しては「恐ろしいほどだ」と語っている。
メルセデスAMGのビジネス部門エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、新スペックのパワーユニットについて次のように語った。
「馬力はそれほど増えてはいないんだ。だが、さらに効率的に機能するようになっている」
「2016年に向けて新しい燃料との相性などをテストしたいと思っていたんだ」
■ロズベルグに発生した問題はエンジンそのものではなかった
当初、その改良型パワーユニットはニコ・ロズベルグのマシンにも搭載されていた。だが、そのユニットに信頼性の問題が生じたとして、ロズベルグは予選前に古いユニットに乗せ換えていた。ところが、レースが残り3周に入ったところでそのエンジンがトラブルを起こし、ロズベルグは悔しいリタイアとなった。
だが、今週末のシンガポールGPでは、ロズベルグはモンツァで本来使うはずだったパワーユニットを再び搭載することになると『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が伝えている。
ロズベルグは、詳細にチェックを行ったところ、改良型パワーユニットには信頼性の問題はないことが分かったと次のように語った。
「(モンツァでの問題は)エンジンとは何も関係がなかったことが分かった。問題は、シャシー側のコンポーネントのほうにあったんだ。それはもうすでにかなり長い間使用されていたものだった」
「だから、今にして思えば、あのとき新しいエンジンを載せたままでも何の問題もなかったはずなんだ」
■今後カスタマーチームに改良ユニットの供給も
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』はさらに、メルセデスでは顧客チームであるウィリアムズ、ロータス、フォース・インディアに向けた新エンジン設定準備にも取り掛かることになると書いており、それらのチームが望めば、以降のレースで使用することも可能になるようだと報じている。
『Auto Bild(アウト・ビルト)』は、その改良型パワーユニットはこれまでのものとは根本的に違う仕様となっており、「革新的に燃料効率の高い内燃工程」がその特長となっていると指摘している。
イタリアGPを最悪の結果で終えていたロズベルグだが、今週末はその改良版パワーユニットの力を十二分に発揮することで、勢いを取り戻したいと考えている。
■シンガポールの空気を心配するロズベルグ
そのロズベルグにとって、シンガポールGPに向けての不安材料のひとつが、インドネシアの山火事による大気汚染のようだ。
ただでさえ高温多湿な条件と長いレースにより身体的負担の高いシンガポールGPだが、それに加えて健康に悪影響を及ぼすレベルの大気汚染や煙による視界不良などが発生すれば、ドライバーにとっての負担はさらに大きいものとなってしまう。
ロズベルグは、ドイツの放送局『RTL』に次のように語った。
「それによっては、僕たちにとってさらに厳しいレースになるだろうし、多分クルマにとってもそうだろうと思うよ」