ザウバーのチーム代表であるモニシャ・カルテンボーンが、F1にかつてのような「タイヤ戦争」を復活させることも検討すべきだと主張した。
現在、2017年以降のF1公式タイヤサプライヤーを決定するための審査に入っており、現在のサプライヤーであるピレリと、F1復帰を目指すミシュランが指名を得るための活動を展開している。
だが、現在のルールではタイヤサプライヤーは1社に限定されることになっており、少なくとも2017年から2019年までは、ピレリもしくはミシュランが唯一のF1タイヤサプライヤーとなる予定だ。
現時点では、ピレリとミシュランのどちらが最終的に選ばれることになるのかは分からない。だが、現在のサプライヤーであるピレリが優勢だろうとの下馬評が多いようだ。
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、タイヤサプライヤーの選定に関して、次のようにコメントした。
「どうなるかは、我々のあずかり知らぬところなんだ。入札手続きを行い、決定を下すのはFIA(国際自動車連盟)と(F1の)商業権保有者(バーニー・エクレストン率いるフォーミュラ・ワン・マネジメント)だからね」
■小規模チームにとってはタイヤ代金も大きな課題
タイヤサプライヤーに関して最終決定権を持つと言われるF1ボスのエクレストンだが、これからピレリとミシュラン両者との間で金銭的な交渉を進めていくことは明らかだ。
最近、ロータスでは、ピレリへのタイヤ代金の支払いが遅れたことで、ハンガリーGPでは金曜日の朝にやっとタイヤを受け取ることができたという事態も迎えていた。
そんな中、ミシュランではF1参戦するにあたって無償でのタイヤ供給を提案しているばかりか、チームへの資金提供さえ申し出ているようだとうわさされている。
昨年の経営破たんからは何とか復活したものの、今季も苦しい経営状況に置かれているマノー・マルシャのグレアム・ロウドン(スポーティングディレクター)は次のように語った。
「仮に、我々が結ぶ新たなタイヤ供給契約がチームにさらなる資金の支出を求めるものだとすれば、我々としても再び資金を探し求めなくてはならなくなる」
■かつてのような無償供給を望むザウバー
そんな中、ザウバーの女性チーム代表であるカルテンボーンは、小規模チームにとって最もコスト効率が良くなるのは、かつてのような「タイヤ戦争」が復活したときだろうと考えている。
カルテンボーンは、ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に次のように語った。
「私たちは、なぜ2社のサプライヤーの時代に戻さないのかと自問すべきだと思っています」
「タイヤ戦争はこれまで常に批判的にとらえられていました。ですが、適切なルールを運用することでそうした部分は改善できるはずです」
そう述べたカルテンボーンは、次のように付け加えた。
「チームにとっては、(タイヤ戦争時代は)実際にはいい時代でした。我々は無償でタイヤの供給を受けていましたし、それに加えて広告代さえ支払われていたんです」