トロロッソでは、テクニカルディレクターを務めるジェームス・キーを手元にとどめておきたいと強く望んでいるようだ。
かつてフォース・インディアやザウバーで活躍し、2012年9月からトロロッソに合流したキーだが、2015年型車の評判がすこぶるよく、にわかに注目を集める事態となっている。
キーが手掛けた2015年型トロロッソSTR10は、搭載するルノーエンジンの信頼性やパフォーマンス不足の影響を受けているものの、単純にシャシー性能だけで見ればメルセデスAMGの次に位置するマシンだとの評価さえある。
そして、F1という世界では当然の話ではあるが、キーの引き抜きを考えている大規模チームもあるとうわさされている。
もちろん、一番可能性が高いのは、世界的エナジー飲料メーカーの所有するプライムチームであるレッドブルが、キーをジュニアチームのトロロッソから引き抜いてしまうことだろう。
トロロッソのチーム代表であるフランツ・トストは、43歳のイギリス人エンジニアであるキーが文字通りトロロッソの「カギ」を握る人物であると認め、次のように語った。
「ジェームス・キーが、今の技術チームを組織するためのキーパーソンだった。そして、彼は自分の周りに本当に技術と能力に恵まれたいい人材をそろえてきたんだ」
「もちろん、こういうトップクラスのエンジニアたちとは長期契約が結ばれているよ」
そのトロロッソには、少し前にはルノーが自らのワークスチームとするために買収を計画しているのではないかとのうわさがあった。だが、ルノーは結局のところ、かつて自らのチームであったエンストンに本部を構えるロータスに焦点を合わせて、その買収に動いていると言われている。
しかし、トストはキーがトロロッソを去ることはないと次のように主張した。
「トロロッソには明るい未来があると確信しているよ。我々は財政的にも非常に健全だし、今後に向けてさらに成功が期待できる」
「だから、そういうチームから有力な人材が去ってしまう理由はないと思うんだ。とりわけ、すべてを構築するためにここまで厳しい時期を過ごしてきただけにね」
そう述べたトストは、次のように付け加えた。
「もちろん、誰もがその結果を見たいと思っているし、これからさらなる成功を収めていくときに、そこにかかわっていたいと思っているはずだよ」