現在、F1の世界は夏休みに入っている。だが、マクラーレンにエンジンを供給しているホンダにとっては、この期間はライバルたちとの差を縮めるための重要な時間となりそうだ。
現在、F1チームはこの夏休み期間中には、2週間の間完全にファクトリーを占め、一切の開発活動を行ってはならないことがルールで定められている。だが、エンジンサプライヤーにはこうしたルールが適用されることはない。
このため、エンジンサプライヤーたちはこの期間に、「トークン」を用いたシーズン中開発を行うことになると考えられている。そして、ホンダもシーズン後半の開幕戦となるF1第11戦ベルギーGP(23日決勝)には大幅に改善を施したエンジンを投入することになっている。
ホンダF1プロジェクトの総責任者である新井康久は、『Tuttosport(トゥットスポルト)』に次のように語った。
「エンジンは日に日に改善されていますし、ベルギーやモンツァ(第12戦イタリアGP/9月6日決勝)ではさらにパワーを発揮することが可能になるでしょう。この2つのサーキットは、それが非常に重要ですからね」
最近、その改良型ホンダエンジンは、現行よりも50馬力ほどもパワーアップが図られたものになるだろうとの記事も出ていた。だが、ホンダのあるエンジニアはその報道内容を否定し、イタリアの『Omnicorse(オムニコルセ)』に次のように語った。
「我々は、今回の変更によって15馬力ほど向上するだろうと考えています。メルセデスを追いかけていくための小さな一歩です」
「シーズンが終わりを迎える前には、残されている4枚のトークンをうまく利用していきたいと思っています」
「ライバルたちに後れをとっていることは分かっていますが、これをばん回するために、私たちも死にもの狂いで頑張っているんです」
そのためには、ホンダにとっては夏休みなど存在しない。
「ファクトリーで何か予期せぬことが発生したりしない限り、我々には夏休みはありません。私たちは懸命に取り組みつづけます」と新井は付け加えた。