フェラーリのテクニカルディレクターであるジェームス・アリソンが、最近報じられた自分に関するうわさに対する反論を行った。
このところ開発が伸び悩み、メルセデスAMGに追いつくどころかウィリアムズにも逆転を許してしまいそうな状況を迎えているフェラーリ。
こうした中、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は先週、イギリス人エンジニアであるアリソンとフェラーリの契約は1年以内に満了を迎えることになっており、フェラーリではアリソンがこのまま現職にとどまるにふさわしいかどうかについてすでに「見極め」に入っていると伝えていた。
だが、アリソンはこの報道に対し、イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』最新号において次のように反論している。
■フェラーリで自分の仕事をやり遂げるとアリソン
「まず、私とこの会社の間には何年かに及ぶ契約がある」
「次に、私はこのチームに勝利を再び経験するために戻ってきた。それは独特の感覚だ。私は若いエンジニア時代にそれを経験したが、5回もF1タイトルを取るという素晴らしいものだった」
「そして、それを再び、自分が今日携わっている役割を通じて達成するということが、私が本当にやりたかったことだし、そうできると心から思っているよ」
「私は、自分の仕事をやり遂げるまでここにいたいと思っているし、もしフェラーリも同じように感じてくれれば私としてもすごくうれしいけれどね」
■他チームとは比較にならないフェラーリでのプレッシャー
ケンブリッジ大学卒業とともにベネトンに加わりF1キャリアをスタートさせたアリソンは、2000年にフェラーリへと移籍していた。そして2005年に副技術責任者として当時はルノーF1と名前を変えた古巣に復帰。
その後チームはロータスと名前を変えたが、2009年から最高技術責任者となっていたアリソンは小規模予算ながらトップチームとも争えるクルマを造り上げ、その名声を高めていた。
再び2013年7月にフェラーリに戻ったアリソンは、シャシー担当責任者を経て、昨年のチーム大改革により最高技術責任者のポジションに就いている。
だが、トップチームであるフェラーリにおいて技術のトップを任されるということは、プレッシャーもかなり大きいのは間違いないだろう。
「でも、私はそういうプレッシャーはいいことだと受け止めているんだ。それによって最善を尽くし、改善し続けなければならない状況に置かれるんだからね」
そう語った47歳となったアリソンは、次のように続けた。
「当然ながら、この会社では勝つまでは満足する者などはいない。でも、このグループはかなり成長してきていると言えるよ。始めたときはこれほどよくはなかったからね」
「我々は改善してきた。だけど、まだやるべきことがたくさんある」
■結果が出せなければクビもありえる
そうした状況の中、最近の数レースでフェラーリの伸び悩みが指摘される中、今回のような報道がなされることも驚きではないとアリソンは言う。
「我々のところには非常に優秀なドライバーがいるし、十分な予算や、最先端の機材もある。言い訳ができる状態ではないんだ。勝利を目指して戦わなくてはならない」
「そして、ものごとがうまく機能しなければ、誰もが失望するのは当然だ。フェラーリで働く者たちは、もし勝利に結びつかないようであれば、何かしらの問題を抱えてしまうだろうということも分かっているよ」
「マラネロ(フェラーリ本部)では誰もが知っているんだ。フェラーリで働くのであれば、勝てるクルマを造る責任を負うのだということをね。それはこれからも変わることはないと思うよ」
■シリーズ後半にはまたメルセデスAMGとの差を縮める
今季はセバスチャン・ベッテルが2戦目のマレーシアGPで早々と優勝を飾ったが、仮にその優勝がもう少し後だったとしたら、もう少しやりやすかったのではないかと質問されたアリソンは次のように答えた。
「首脳陣の期待という意味からは、多分その通りなんじゃないかな」
「だけど、成功を手にできるということきに、それを拒むことなどできないからね」
フェラーリがシーズン中盤に失速状態に陥っていることについて、アリソンはさらに次のように説明を続けた。
「シーズン序盤の改良パーツは、ほかのライバルたちよりもかなり早く投入されていたんだ。それによって我々は差を縮めることができていた」
「ところが、メルセデスAMGはモントリオール(カナダGP/第7戦)で大きな飛躍を遂げ、差がまた広がってしまった」
「だけど、シーズン後半にはどういうことが起こるかについて賭けをするなら、僕はフェラーリが再びメルセデスAMGとの差を縮め始め、ウィリアムズよりも上にとどまり続けるほうに賭けるね」とアリソンは結んでいる。