マクラーレンの控えドライバーであるケビン・マグヌッセンが、レースに出られないつらさを語った。
22歳のマグヌッセンは、昨年マクラーレンからF1デビューを飾ったが、今年はフェルナンド・アロンソが加入したことで控えドライバーに逆戻りしている。
今季はインディーに参戦する方向で話が進んでいたものの、シーズン前のテストでアロンソが負傷したために契約に至らなかったことを『Motorsport Sport(モータースポーツ)』誌のインタビューで明かした。
「僕がバルセロナでテストしなければならなくなった。そのあと、オーストラリア(F1開幕戦)でのレースもあった。それで時間切れになってしまったんだ」
「スポンサーを探すのに2週間ほどしかなく、マクラーレンでのテストとレースでさらに時間がなくなった」
■レースに出られないつらさ
どのカテゴリーにも参戦せずにシーズンを過ごす胸の内をマグヌッセンは次のように語っている。
「とにかく何もかも嫌になった」
「あきらめたわけじゃないよ。でも、すごく落ち込んで、レースなんかどうでもよくなった」
「僕はレースが大好きだったし、それを続けていくと思っていた。だから最初のうちは“もう知るもんか”と思ったんだ」
「本当に長い間レースだけやって生きてきたのに、突然レースができなくなり、先の楽しみもないんだから。僕には来年の契約がない。何もないんだ」
■唯一の希望はロン・デニスの信頼
マグヌッセンにとって唯一の希望は、マクラーレン最高権威ロン・デニスの後押しだ。5月末にはマグヌッセンの母国デンマークをデニス自ら訪れて、企業に対してマグヌッセンへの支援を要請した。
「うまくいったのかどうかは分からないけれど、間違いなく意味のあることだった」とマグヌッセンは話す。
「何より、ロンがわざわざデンマークまで出向いてくれたことで、彼が今も僕を信じてくれていると分かった。そんなことをする必要はマクラーレンにはない。彼らは僕がいなくても平気だけれど、僕には必要だ。ロンは、僕がいいヤツだからそうしたわけじゃない。僕なら彼の手助けができると考えているからだ」
■シミュレーターは「ポルノ」
控えドライバーにとって、F1マシンに乗る機会は限られている。例えば今週、マグヌッセンはチームの撮影でシルバーストン・サーキットを走行した。正ドライバーのバトンとアロンソのヘルメットをかぶっての走行だ。
あとはシミュレーターに乗る仕事しかない。シミュレーター作業について、マグヌッセンは次のように話している。
「欲求不満になるとは言わないけれど、これが本物のクルマだったらと思うよ。同じような感触を少し味わえるし、いいものだけれど、エキサイティングではないからね」
「ポルノを見ているようなものかな。本物とは違うよ」