先週末にシルバーストンで行われたF1イギリスGPは、ポールポジションからスタートしたものの、一時はウィリアムズの2台に先行を許したルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)。だが、レース中盤のピット戦略を成功させ、見事にトップに返り咲くと、今季5勝目を飾っていた。
【結果】F1イギリスGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント
最大の見どころとなったのは、レース終盤のハミルトンのピットインだろう。終盤に最大のライバルであるニコ・ロズベルグに追い上げられていたハミルトンだが、誰もが首をかしげるタイミングでピットに戻り雨用タイヤに交換。しかし、その作戦がドンピシャに決まり、その後急激に雨脚が強まる中、ライバルたちを寄せ付けずに先頭でチェッカーを受けることに成功していた。
このハミルトンのピットインについては、「戦略の神」と形容するメディアもあったほどだ。ハミルトン本人も、レース翌日の6日(月)に、イギリス人記者たちに対し、「あのときの判断には100%の自信があったよ」と語っていた。
だが、再びドライバータイトル争いの差を17ポイントに広げられたチームメートのニコ・ロズベルグは、あのときのハミルトンのピット戦略は単に運がよかっただけだと主張している。
実際のところ、一見無謀とも思えたハミルトンのピットインだが、あの時点ではロズベルグがかなりの勢いでハミルトンとの差を縮めてきていた。
ロズベルグは、そのときのことをドイツの『Bild(ビルト)』のコラムに次のように書いている。
「あのとき、僕は『よし、これで勝てるぞ』と思っていた」
「ルイスがピットに入って雨用タイヤに交換したときは本当に驚いた。僕は、『これで彼をつかまえることができる』と思ったんだ。実際、あのときは(ピットインするには)まだ早すぎたからね」
「ところが、あのタイミングで急に土砂降りになってしまったんだ! 頭に来るよ。もし雨があと半周後に降り始めていたら、僕が彼を追い抜いていたはずだからね」
そう主張したロズベルグは、「不愉快だね」と結んでいる。