2016年のドライバ市場、別名「シリー・シーズン」は、現在キミ・ライコネンが座っているフェラーリのシートがカギとなっている。
「君たちが知っている以上のことは、僕も知らないよ」とシルバーストンで報道陣に語ったライコネン。
あれこれと憶測が飛び交うのも無理はない。2015年は元チームメートのフェルナンド・アロンソ(現マクラーレン・ホンダ)を相手に苦戦。今季も同僚で友人のセバスチャン・ベッテルに手を焼いている。
2週間前のF1第8戦オーストリアGPで大クラッシュを演じたライコネンだが、フェラーリの情報筋によれば、完全にドライバーのミスによるものだ。よりによってこの時期に事故とは、最悪のタイミングである。
ライコネンが跳ね馬に再加入する前のドライバーだったフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)の考えでは、「アイスマン」(ライコネンの愛称)はプレッシャーでがんじがらめになっている。
「皆は彼をアイスマンと呼ぶが、彼は他の何よりもプレッシャーに苦しんでいるに違いない」と言うマッサ。
ライコネンに替わるドライバーとしてもっとも下馬評が高いのは、マッサの僚友バルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)だ。
「彼(ボッタス)はウィリアムズに残る選択肢もあるってことを忘れないでほしいね」とマッサは、2日(木)に語っていた。
ドイツ『Auto Bild(アウト・ビルト)』誌がボッタス本人に聞いたところ、彼は次のように答えた。「ゴメンね。契約の詳細については話せないんだ」
マッサはブラジル『Globo(グローボ)』紙に、こう話す。「フェラーリに行くかどうかは知らないが、彼は既にとても優れた、力のあるチーム(ウィリアムズ)に所属していることを忘れてほしくないな。もっか僕らの敵はフェラーリなんだから」
「彼に何をアドバイスするかって?自分の心に従って行動しろってことかな」
ライコネンの代わりにマラネロ入りしそうなドライバーは、もう一人いる。ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)だ。しかし彼は、ボッタスがフェラーリ入りしたら、その空きシートに座る第一候補と思われる。
彼は2010年、わずか在籍1年でウィリアムズを解雇されたが、ヒュルケンベルグ側にわだかまりはない。
「恨みっこなしさ」「どうせ、今はどこか他所にいる人間たちが決めたことだから」とドイツ『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』紙に述べたヒュルケンベルグ。おそらく元チーム代表アダム・パーを指しているものと思われる。
ウィリアムズだけではない。フェラーリの「B」チームとして2016年、F1に打って出るアメリカのハースのドライバー候補にも名が上がっている。
ある関係者は次のように言う。「エンジンはフェラーリ。製造されるマシンもフェラーリと大いにつながりがある」「ハースはニコ(ヒュルケンベルグ)にとって、すべり止め的な存在だ」