何やらチームの風当たりが強くなったクリスチャン・ホーナーに、バーニー・エクレストンが助け舟を出した。
レッドブル社主ディートリッヒ・マテシッツがホーナーをクビにするといった憶測が飛び交った先週、ホーナーもヘルムート・マルコ博士も打ち消しに懸命だった。
「私はオーストリアでディートリッヒ(マテシッツ)と長時間、話し合った」とイギリス『Times(タイムズ)』紙に話すエクレストン。「クリスチャン(ホーナー)の立場はちっとも危うくない。私には分かる」
「今まで現れたチーム代表の中で彼はトップクラスだ。レッドブルを一から世界チャンピオンに押し上げたのは彼だ。そんな人材を誰がクビにする?」
2013年まで4年連続でF1タイトルを獲得したレッドブルも、その年を最後に目に見えて苦戦している。そして彼らは、その責任をルノーだけに押し付けている。
元F1ドライバーでテレビ解説者のマルク・スレールはドイツ『Speedweek(スピードウィーク)』に、次のように話す。「レッドブルの現状をクリスチャン・ホーナーひとりのせいにすべきとは思わない」
不振の原因をホーナー自身は、エンジンが80パーセント、シャシーは20パーセントとする。
スレールは言う。「過去5年ほどを振り返ると、2015年型マシンは決してベストではない。それが私の印象だ」
「あれほどのチーム力がありながら、どうしてトロロッソに劣るマシンが出来上がるのか理解しかねる」
「外から観察する限り、唯一の理由はエイドリアン・ニューイだ。彼はもはや、100パーセントをレッドブルに注力していない」
ホーナーはこれに反論する。ニューイは次の2戦、第9戦イギリスGPと第10戦ハンガリーGPに姿を現すというのだ。いずれも「RB11向けの」サーキットである。
ホーナーはドイツ『Auto Bild Motorsport(アウト・ビルド・モートアシュポルト)』誌に、次のように話す。「計算によると、われわれのマシンはF1グリッドで指折りの性能だ。メルセデスAMGが10分の2、3秒速いだけにすぎない」
その一方でスレールは、レッドブルとルノーの派手な中傷合戦が苦戦に輪をかけていると分析する。
うわさによると両者は別離の方向に進んでいて、ルノーはロータスを買い取る可能性がある他、レッドブルは意外や意外、フェラーリ・エンジン搭載が取りざたされている。
それより何より、レッドブルとルノーは力を合わせるべきとスレールは主張する。
「現行の規則では、パワーユニット開発は一年単位の縛りがある。すると、こんな疑問も出がちだ。『今年はダメだとして、来年よくなる保証はどこにある?』」
「他方、腐っても鯛は鯛、ルノーはルノーさ。ホンダの例を見ても分かるとおり、現在のエンジンは非常に複雑だ。あれほどの日本企業が苦戦するさまは、われわれの想像を絶するものがある」
「従って、いくらか時間はかかるかもしれないが、最終的にルノーがいいエンジンを作る可能性はあると思う」とスレール。「早ければ2016年にもね」