フェラーリは2015年シーズンをまだあきらめていない。
F1第7戦カナダGPから改良を施した新型エンジンを投入したフェラーリだが、続く第8戦オーストリアGPでも、メルセデスAMGとの差があることは明らかだった。
フェラーリのセバスチャン・ベッテルはレース後にこう振り返っている。
「一番強烈だったのは、レース序盤の数周だ」
「彼ら(メルセデスAMG)は僕たちより0.3~0.5秒速かった」
■フリー走行の取り組み方を見直すフェラーリ
だが初日フリー走行では、フェラーリのペースがメルセデスAMGを上回っていた。
「それは簡単に説明できる」とフェラーリのチーム代表マウリツィオ・アリバベーネ。
「金曜は常にメルセデスAMGのほうが燃料を多く積んで走行しているからだ」
「今後は同じ方法でやるようエンジニアに指示した。そうしない限り、自分たちの真の位置はつかめないからだ」
■今も目標は「3勝」
今シーズンはあきらめて、重点を来シーズンに移すようなことはしないとアリバベーネは話している。
「われわれはすでに2016年のクルマに取り組み始めている」
「だが同時に、現在のクルマへの取り組みを強化する必要がある」
「われわれは、今年3勝するという目標を自分たちに課した。それを変える理由は見当たらない。メルセデスAMGに2020年に追いついても仕方ない。できるだけ早く、可能なら2015年末までに捕まえたい」
だが、イタリアのメディアは辛らつだ。『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、オーストリアGPはフェラーリにとって「暗黒の日」だったと評し、「2014年のひどい映画をもう一度見ているようだった」と書いている。
また、『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』はメルセデスAMGは2015年も「難攻不落」のようだと伝えている。
■ペナルティー覚悟で新エンジン投入か
しかし、フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネは、モンツァで行われるイタリアGP(9月6日決勝)に向けて期待を抱いていると語っている。
「私はクルマが良くなりつつあると思う」
「残念ながら始めるのが遅かったから、巻き返しを図っているところだ。だが、モンツァでは大幅に良い状況になっているだろう」
F1のパワーユニットは、パフォーマンス向上を目的とした開発が規制されており、開発の量はトークンで計算される。『Speedweek(スピードウィーク)』は、フェラーリが残りのトークンの一部をイタリアGPで投入する4基目のエンジンに使い、残りをアメリカGP(10月25日決勝)で投入する5基目に使うと伝えている。
今年エンジンの規定数は4基となっているため、5基目を使用すると10グリッド降格のペナルティーを受けることになる。