F1は、ジャン・トッド率いるFIA(国際自動車連盟)にもっと耳を貸せば何かの役に立つ。
そんな意見を口にするのは同連盟の前会長マックス・モズレーだ。
何ごとも目立たないようにするのがトッドの姿勢だが、関係者の一部には、嵐が吹きすさぶモズレー時代を懐かしむ者がいる。もし75歳のモズレーが今もFIA会長だったら、F1の現状を何とかしようと積極的に足を踏み入れるはずだと彼らは考える。
その一方で、もはや時代は変わったとする者も。長くF1に君臨するバーニー・エクレストンも84歳。荷が重いのではというのだ。
「F1を若い世代に任せることは、果たして必要だろうか」とイタリア『Sky(スカイ)』に語るモズレー。
「少なくともバーニー(エクレストン)は、財政面でよくやっている。しかし、私はF1の基本構造が間違っていると思う。トップチームは肥え太り、他は息も絶え絶えだ。なのに彼らは特例も何も与えられず、扱いは金持ちチームと同じだ」
「これは、バーニー一人ではどうしようもない。私の考えでは、連盟(FIA)が介入すべきだ」
「おそらくジャン・トッドは、自分のことは自分で解決しろと考えているんだろう」
「一般道の交通安全においてジャンは、見ごとに役割を果たしている」とモズレー。「最近は彼と話をしていないが、F1よりも、その方面に力を入れているのではないだろうか」
「彼の考えは理解できる」「彼は各チームの首脳を大人として扱っているのだ。あとはエクレストンに任せれば、FIAが手を煩わさずとも自ら問題を解決できるとね」
「私のときは違う考えだったが、彼(トッド)が間違っているとは私の口から言えない」
F1が抱える問題についてモズレーは、「パワーユニット」の規則を元凶とする代わりに、規則を誤って適用していると次のように指摘する。
「F1のハイブリッド化には賛成だ」「では根本的なミスは何か。それは経費に上限を設けなかったところにある」
モズレーによると、エンジンの費用を一チームあたり「年間300から400万ユーロ(約4億1,800万円~5億5,700万円)」とするよう規則で強制すべきだという。
「それでも高すぎるくらいだ」「経費の抑制に前向きでないなら、その者をF1から締め出してやるがいい」
「エンジン製造会社に、パワーユニットの研究開発コストを小チームに負担させたのが間違いだ。市販車生産に応用すれば、そのコストで相殺されるはずだ」