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【ホンダF1】予想以上に困難だったパワーユニットへの挑戦

2015年06月16日(火)17:38 pm

今季、伝説的とも言えるマクラーレン・ホンダが23年ぶりに復活した。だが、ここまでのところまだ4ポイントしか獲得できず、予選Q3にも一度も進めないという苦しい状況が続いている。

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その不振の最大の原因が、パフォーマンスと信頼性両面で大きく出遅れてしまったホンダのV6パワーユニットにあるのは間違いない。

■マクラーレン内部にもホンダに対する不安が

前戦F1カナダGP(第7戦)ではフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンの2人ともマシントラブルによるリタイアに終わったが、その後マクラーレン陣営の中にもホンダに対する不満が募ってきていることが見え始めてきている。

それでも、マクラーレンの内部関係者が、マクラーレンとホンダの関係は今でも「良好」かつ「健全」だと語ったとブラジルの『Globo(グローボ)』が報じている。

だが、その関係者も、現在のエンジンレギュレーションのもとでホンダが取っている方法論に対して懸念を感じていることも認めたとされている。

ホンダのエンジニアリングディレクターを務めるマット・モーリスも、「我々の最大の問題は、ひとつの部分がうまく機能し始めても、突然ほかの部分でまったく違う問題が発生してしまうことだ」と語り、いまだにモグラたたきのような状態が続いていることを認めている。

■ホンダにとって予想以上の難関だったERS

自然吸気V8エンジンが使用されていた2008年シーズン限りでF1から撤退していたホンダだが、新たなV6パワーユニット時代を迎えて2年目となる2015年に、7年ぶりにエンジンサプライヤーとしてF1復帰を果たしていた。だが、ホンダにとっては初めての取り組みとなるERS(エネルギー回生システム)が、予想以上の難関として目の前に立ちはだかっている状態だ。

F1では、ホンダが撤退した翌年の2009年から現在のERSの前身にあたるKERS(運動エネルギー回生システム)を導入し、以後数年かけて試行錯誤を続けてきたという経緯がある。そうした経験の上に、昨年から熱エネルギー回生も含めたERSが新たに採用された新エンジン時代を迎えていた。

ホンダとしては、KERSの実用経験もないまま、さらに高度に進化したパワーユニット時代に復帰を果たしたわけだが、それが想像以上に大変な取り組みだったことは間違いないだろう。

ホンダのF1プロジェクト総責任者である新井康久も、「現在、我々にとって一番大きな問題は、内燃エンジンではなく、エネルギー回生システムのほうです」と語り、ERSが現在の苦戦の原因であることを認めている。

■かつてない複雑さを持つF1パワーユニット

かつてマクラーレンやフェラーリでエンジニアを務めていたこともあり、レーシングチームのエプシロン・エウスカディの創立者としても知られるホアン・ビラデルプラットは次のように説明している。

「エンジンメーカーにとって、今日のF1で成功することは、私がマクラーレンやフェラーリにいたころに比べるとかなり難しくなっている」

「すべてのシステムを非常に正確に統合する必要があることが、エンジニアリング上の大きな課題となっている。F1の歴史において、これほどの困難なことはなかったはずだ」

「しっかりした組織を持つルノーやホンダのような会社でさえ、まだそれを自分のものにできていないのはそのためなんだ」

■戦えるパワーユニットになるのはいつ?

マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエも、現在マクラーレンとホンダの両者がともに大きなプレッシャーを抱えていることを認めるとともに、さらに人材を投入するなどして、学習工程のスピードアップを図っていかなくてはならないと語っている。

だが、モーリスは次のように付け加えた。

「現在の状況に対応する方法を学んでいるところだし、仕事の進め方の改善にも取り組んでいる。だが、どうにもスピードアップを図る手段がない状況もあるんだ」

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