フェラーリのキミ・ライコネンにとっては、今年の7月31日は重要な日となりそうだ。
フェラーリとライコネンとの間に結ばれている契約には、フェラーリ側に延長オプションの行使権があると定められていることが分かっている。
そして、イタリアの『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』が報じたところによれば、そのオプションをフェラーリが行使するかどうかの期限が7月31日までと定められているという。
ライコネンは少し前に、「そのことは全然気にしていないよ。時が来れば分かることさ」と語っていた。
だが、ライコネンがそのコメントを行ったのは、フェラーリのチーム代表であるマウリツィオ・アリバベーネがライコネンに対して予選でもっと調子を上げるようにとの注文を出す前のことだった。
そして、前戦F1カナダGPでは、セバスチャン・ベッテルにトラブルが発生し予選Q1敗退という思わぬ結果となったものの、ライコネンは今季の予選最上位となる3番グリッドを確保していた。
ところが、決勝レースでもライコネンは中盤まで順調に3番手をキープしていたものの、痛恨のスピンによって表彰台を逃す結果に終わっていた。
■契約延長は結果次第だとフェラーリのボス
F1公式サイトによるインタビューの中で、来季もライコネンが残留することになるのかと尋ねられたアリバベーネは、次のように答えた。
「以前も言ったが、それは結果次第だよ。私が彼に提示した目標を達成しているのであれば、そうしない理由はないだろう?」
仮に、ライコネンがフェラーリに残留しなくなった場合、その後任候補としてフェラーリが考えているのはバルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)とダニエル・リカルド(レッドブル)だろうと言われている。
だが、レッドブルはリカルドとは「鉄壁の契約」を結んでおり、2016年にリカルドが他チームへ移籍することはありえないと主張。さらに、ボッタスとウィリアムズの契約についても、ウィリアムズ側が契約延長オプションを持っていると考えられている。
将来のことについて質問を受けたボッタスは、最近次のように答えていた。
「まだ何かを言うには早すぎるよ。現時点では、このチーム(ウィリアムズ)で最高の結果を残すことだけを考えているんだ」
F1関係者の中には、フェラーリは来季はライコネンをそのまま残留させ、ボッタスやリカルドが現在のチームとの契約から解放され、本当の意味で市場に出てくるまで待とうという判断をする可能性が高いと考えている者もいる。
■ほかにも選択肢はあるとアリバベーネ
だが、アリバベーネは、フェラーリにはほかにも選択肢はたくさんあるのだと次のように主張している。
「私は、現時点では今の2人のドライバーに集中している。だが、もし必要であれば、すぐにでもフェラーリのシートに飛び乗る準備ができているドライバーがいることもよく知っているよ。それは問題じゃないんだ」
あまりうわさにものぼらないが、フェラーリには控えドライバーとしてエステバン・グティエレスや、昨年までトロロッソに在籍していたジャン-エリック・ベルニュといったドライバーたちもいる。フォーミュラEではすでに3度ポールポジションを獲得しているベルニュなどは、今でも即戦力として通用するはずだ。
アリバベーネは、カナダにおいてライコネンの能力を引き出そうと努めていると語っていた。そして、7月31日に迎えるフェラーリのオプション行使期限までにはあと3レースしか残されていない。来週末のオーストリアGP(21日決勝)、第9戦イギリスGP(7月5日決勝)、そして第10戦ハンガリーGP(7月26日決勝)だ。
「キミに何をしろと命ずるわけにはいかない。その代わりに、彼と話をし、我々が彼を信頼していることを示す必要があるんだ。時として、彼にとって自分自身が最大の敵となってしまうことがあるからね」
そう語ったアリバベーネは、次のように付け加えた。
「だが、もし我々が彼を100%信じていることを示すことができれば、彼は我々に120%のものを返してくれることができるのさ」
■できればフェラーリに残りたいとライコネン
一方、ライコネン自身はこのままフェラーリに残留したいという気持ちを強く抱いているようだ。
「F1にはいいチームがたくさんあるけど、フェラーリはちょっと違うんだ」
フランスのテレビ局『Canal Plus(カナル・プリュ)』にそう語ったライコネンは、次のように付け加えた。
「今年のフェラーリは、これまで僕がいた中では最高のチームだと思う。仕事の仕方や雰囲気などが、以前にも言ったけれど、まさにフェラーリはフェラーリだという感じなんだよ。できることならずっとこのチームにいたいね」
ライコネンにとっては、続く3レースでアリバベーネを納得させる成績を残し、来季の契約延長を確実なものとして夏休みを迎えたいところだろう。