F1カナダGP(第7戦)が開催された先週末のカナダでは、「カスタマーカー制度」あるいは「フランチャイズチーム制度」などと称される問題に関しての話し合いが行われたと伝えられている。
現在のF1ルールでは、シャシーを自社製造するチームが、選手権に参加する「コンストラクター」として認められることになっている。だが、今後は大規模チームのみがそのコンストラクターとなり、小規模チームたちに自分たちが製造したシャシーを用いたF1カーパッケージを販売するという案件が議論されている。
その場合、シャシーを購入するチームは「フランチャイズチーム」としてF1選手権とは別に「GP1」と呼ばれるような別カテゴリーとして一緒のレースに臨むことになるだろう。
■独立性を捨てるつもりはないと小規模チーム
ザウバーの共同オーナーであり、現在唯一の女性F1チーム代表を務めるモニシャ・カルテンボーンは、この件に関してドイツのメディアに次のように語った。
「そうすることを望んでいるチームは、それによってさらなる収益を確保しようとしているに過ぎないのです」
フォース・インディアのチーム副代表を務めるロバート・ファーンリーも同じ意見だ。ファーンリーは『Telegraph(テレグラフ)』に次のように主張した。
「その議題は、権限や経済的な観点において完全な支配体制を作ろうとするためのものだと私は信じている」
「これは、そうした(大規模)チームから出た動きであることは間違いないと確信しているよ」
■エクレストンも「フランチャイズチーム」には反対
そして、かつてカスタマーカー制度の導入を提唱していたエクレストンでさえ、現在提唱されている「フランチャイズチーム」のような考え方には賛同できないと次のように語っている。
「そういう制度を導入するようになるとは思わないよ。あるチームがほかのライバルチームに何から何まで供給することを許したりなどはできないだろう?」
「仮に、私がランナーだったとする。そして私がほかのランナーにランニングシューズを提供できるとする。そうしたら、私はそいつには合わないシューズを与えるよ。そんなことが起こっていいわけはないだろう?」
■エクレストンの代案は?
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、エクレストンは別のアイデアを持っていると報じている。
財政的に苦境に立たされている小規模チームには、高額なV6パワーユニットを購入するのではなく、代わりにもっと安価な古いエンジンを購入できるようにすればいいとエクレストンは提案しているのだ。
「そうすれば(エンジンコストは)600万ユーロ(約8億4,000万円)ですむだろう」
そう語ったエクレストンは、そうした場合、小規模チームが手にするエンジンは最新のパワーユニットに比べて100馬力ほど不利になるだろうが、代わりにそうしたチームのF1カーについては最低重量を引き下げることで不利を相殺できると主張している。
「100馬力によって3秒の差が生じるとしよう。その場合、どれくらい車重を減らせば、それに対抗できるか計算すればいいんだ」
エクレストンは、その方法であれば、小規模チームも8,000万ユーロ(約112億円)で競争力のあるクルマを走らせることができ、「独立チームのままでいることができるだろう」と主張した。