F1カナダGP決勝後、フェラーリのチーム代表であるマウリツィオ・アリバベーネは、当然ながら、目に見えて不機嫌だったと伝えられている。
【結果】F1カナダGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント
予選ではセバスチャン・ベッテルのF1カーにトラブルが発生。まさかのQ1敗退となったベッテルは、フリー走行3回目での赤旗無視のペナルティーも科され、18番グリッドからの決勝スタートを余儀なくされていた。
今季それまでの6レースではすべて表彰台を確保していたフェラーリの期待は、当然ながら3番グリッドからスタートするキミ・ライコネン(フェラーリ)に集まることとなった。
アリバベーネは、ここまでのレースですべてベッテルに予選で敗れていたライコネンに対し、予選での順位向上を目指すようはっぱをかけたことが報じられていた。
今年いっぱいでフェラーリとの契約が切れるライコネンにとっては、来年の契約延長を確実とするためにも、重要なレースとなっていた。
■痛恨のスピンを喫したライコネン
スタートで前を行くメルセデスAMG勢をとらえることはできなかったものの、ライコネンは順調に3番手を走行。少なくとも表彰台の確保は間違いないように思われていた。
だが、ピットに入り、タイヤ交換を済ませてコースに出たライコネンはヘアピンで大きなスピンを喫してしまう。これで、ウィリアムズのバルテリ・ボッタスに3番手の位置を奪われてしまった。
「これは寄与過失だと言えるケースかもしれないね」と語ったアリバベーネは、「彼は昨年も同じことが起きたと言っているからね」と続けた。
ライコネンは、今回のスピンは単純なドライビングミスではなく、「何か奇妙なこと」が起こったのだと主張している。つまり、ピットストップを行った後のエンジンセッティングに何か問題があったことがあのスピンの原因のひとつだったとほのめかしているわけだ。
■期待外れの結果に憤るアリバベーネ
だが、レース後すぐに感想を求められたアリバベーネは、怒りを隠すことができない様子だった。
イタリアの『Sky(スカイ)』にコメントを求められたアリバベーネは、「今は、自分の考えを口にしないほうがいいと思う」と答えると、次のように続けた。
「我々は表彰台を投げ捨ててしまった。それが真実だ。言い訳などできないよ」
「今年は表彰台も見飽きていたかもしれない。だが、その表彰台に上れないのはさらにまずいことだ」
フェラーリではカナダGPに、それまでよりも30馬力ほどパワーを向上させたエンジンを投入したと言われている。
アリバベーネは次のように続けた。
「言い訳はしない。改良を加えたことで、もっといい成績を期待していた。ところが、我々は逆に後退してしまったんだ」
■高くつきそうなライコネンのスピン
ライコネンにとっても、さらに厳しい状況に置かれることになったのは確かだろう。来季はボッタスにシートを奪われるのではないかとうわさされているライコネンだが、今回のスピンにより、そのボッタスに3位表彰台をプレゼントしてしまう結果となってしまった。
しかも、ライコネンはフェラーリのセルジオ・マルキオンネ会長が見ている前で、それを演じてしまったのだ。
珍しく、先週末のジル・ビルヌーブ・サーキットに顔を見せていたマルキオンネは、決勝がスタートする前にライコネンに関して次のように語っていた。
「まず、彼のレースを見られることをうれしく思うし、そこから判断をしていくよ」