2016年にF1参入を予定するアメリカの新チーム、ハースF1。彼らは、同じ傘下のNASCAR(米ストックカー・シリーズ)チームからダニカ・パトリックをF1にスライドさせる案に消極的だ。
パトリックは世界的にも有名な33歳のアメリカ人レーシングドライバー。インディカーから転向した一人で、ジーン・ハースのNASCARチームで戦っている。
F1第7戦カナダGPを訪れたチーム代表のギュンター・シュタイナーは、イギリス『Sky(スカイ)』とのインタビューで次のように述べた。「きっと、何らかの形で注目はされるだろう」
「しかし、思うにダニカは、今のままで十分満足しているのではないだろうか。彼女にとってF1転向は大きなリスクが伴う。彼女のキャリアで今、F1に挑戦したがるとは思えないのだ」
2016年のドライバー選びは、アメリカ人ルーキーよりもベテランのF1ドライバーに的を絞るほうがチームにとって得策だとシュタイナーは言う。
最近とくに名が上がる一人は、ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)だ。
本人も5日(金)に認めたようにヒュルケンベルグは、チーム状況が芳しくない中、今季後半に投入が予定されているBスペックのマシンを「今か今かと」待ちわびている。
同時に彼は2015年、F1へのこだわりを止め、スポーツカーレースに進出。カナダGP決勝のチェッカーが振られるや否や、直ちに飛行機に飛び乗ってフランスへ向かい、伝統の一戦ルマン24時間レースに出場する。
フォース・インディアのチームオーナー、ビジェイ・マリヤは2016年もヒュルケンベルグをチームに残しがっているが、彼の方はひとつの選択肢に縛られたくない感じだ。
「そうだね」とF1公式サイトに語るヒュルケンベルグ。「可能性のトビラが開くタイミングを見きわめておかないとね。準備を怠ってはならない」
ハースとの関係構築はヒュルケンベルグにとって、ひとつの手だ。フェラーリ入りに一歩近づくかもしれない。
フェラーリは、ハースの2016年F1参入を準備段階から手助けしている。事実、FIA(国際自動車連盟)は最近、フェラーリの空洞で行われているハースの空力プログラムが妥当かどうか査察に訪れている。
ハースのシュタイナーはモントリオールで、次のように語った。「何も隠すものはない」
フェラーリの広報はドイツ『Speedweek(スピードウィーク)』に、こんなことを話している。「フェラーリは、ハースとエンジン供給で合意したばかりか、技術面でパートナーシップを締結している」
「だからといって、風洞プログラムを共通にしたりはしない。すべて別個に行なっているし、スタッフの行き来もない」