NEXT...F1開催スケジュール

F1の将来像、いまだ定まらず

2015年06月08日(月)11:11 am

2017年に大規模な変革を予定しているF1だが、その方向性はいまだ定まっていない。

■暗礁に乗り上げる提案の数々

まず、レース中の給油復活はチームの反対で廃案となった。

「コストが高くつき、レースの改善にもならないことが分かった」というメルセデスAMG広報担当の言葉を『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』が伝えている。

長年使われている13インチホイールを、現在の市販車に近い18~19インチに変える案も頓挫しそうだ。

「ホイール拡大は良い方向ではないということで大方の意見が一致していると思う」とメルセデスAMGのパディ・ロウは5日(金)に話している。

そうなると、18インチタイヤを条件に上げているミシュランのF1復帰もなくなるだろう。

来年からタイヤコンパウンドをチームが自由に選択できるようにする案が出ているが、その方法は複数提案されており、まだ定まっていない。

ロータスのアラン・パーメインは「詳細をしっかり話し合うためにもっと時間が必要だ」と話す。

■話し合いの進むカスタマーカー

『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、カナダGP(7日決勝)のパドックで、マクラーレン最高権威のロン・デニスがメルセデスAMG、フェラーリ、レッドブルのチーム代表を集めて2017年以降のルールについて話し合ったと伝えている。

そこで、反対意見の多いカスタマーカーについても話し合われた。その結果、カスタマーカーの導入は最後の手段であり、一時的なものとすべきだということで意見が一致したという。

その場合、ビッグチームが小規模チームに“フランチャイズ権”を与え、5000万ユーロ(約70億円)で2台供給するというのがその案だ。

■「究極の存在」を目指すF1

2017年からF1を1周あたり5~6秒速くする計画だが、そのためにF1マシンの車幅とタイヤ幅を大きくすることについてはほぼ合意に至っていると『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は伝える。

だが、メルセデスAMGの非常勤会長ニキ・ラウダは「クルマとタイヤの幅を広げるだけでは十分ではない」と話す。

メルセデスAMGチーム代表のトト・ヴォルフも、「F1はもっと究極の存在にならなければいけない」と『Toronto Star(トロント・スター)』紙に話している。

「30歳の男性が映画館へ行って『ワイルド・スピード』を見れば、後ろ向きでレースをフィニッシュするのもごく普通のことだと思うだろう」

「それと渡り合うのは相当難しい。だが、観客を魅了するものが何かは読み取れる。それは見応えのあるレースだ。F1はその実現を目指さなければいけない」

だが、こうした方向性に異をとなえているのが元F1ドライバーのエディー・アーバインだ。『Beanbagsports(ビーンバッグスポーツ)』に次のように語っている。

「彼らはF1全体の価値を落としているだけだ。それも、絶対にF1を見ないような視聴者を追い求めてね」

「歴史やサーキットに精通し、過去のあり方を心から崇拝していたファンには見向きもしなかった」とアーバインは批判している。

■ルール制定の仕組み自体に変化が必要

ザウバーのチーム代表モニシャ・カルテンボーンは、チームがルール制定に関与している現在の仕組み自体を変える必要があるという意見だ。『AFP通信』が伝えている。

「このスポーツには、一方にレースとしての側面があり、商業権利者はそこに関心を持っています。もう一方に連盟(FIA/国際自動車連盟)が存在し、ルール制定を担っています」

「以前あった仕組みから取り入れられることもあるでしょう。例えば、チームの意見を考慮し、アイデアや戦略を検討するワーキンググループです。それでも、決定は別の組織が下すのです」

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック