マウリツィオ・アリバベーネが、有名なF1チームであるフェラーリをチーム代表として運営していくのは、人生において最も困難な挑戦だと語った。
かつてフェラーリのスポンサーであるマールボロの宣伝担当重役を務めていたアリバベーネは、昨シーズンが終了するとすぐにそれまでのマルコ・マティアッチに代わって新チーム代表に就任。以降、それまで混沌(こんとん)とした状態に陥っていたチームの立て直しに取り組んでいた。
アリバベーネは、ドイツの『DPA通信』に対し、フェラーリでの仕事の難しさを10の目盛りで図ろうとしたら、それに収まりきれない11番目あたりだと語り、次のように続けた。
「例えば、バルセロナ(スペインGP/第5戦)ではどちらのドライバーに新しいクルマを与え、どちらに古い方を与えるかを決めなくてはならなかった」
「キミ(ライコネン)が、自分は古いほうがいいと言ったんだ。だが、メディアには我々がコインを投げてそれを決めたと書かれていたと聞いたよ」
「あるときは、トイレに入ったらみんなが“なぜマウリツィオはこんなに急ぐんだ?”と話しているのが聞こえてきた」
そのアリバベーネにとって、最新の課題は、その手腕に寄せられる過度の期待だ。
フェラーリは今シーズン開幕と同時に大きな改善を遂げてみせ、F1関係者を驚かせた。だが、バルセロナで投入した改善パッケージがうまく機能しなかったことにより、フェラーリが新たな「危機」を迎えたようだとの論評もされている。
「あまり高い期待をされてもね」
アリバベーネはそう語ると、次のように続けた。
「バルセロナで、我々は(ゴールしたときにトップから)45秒遅れていた。だが、昨シーズンのギャップは1分27秒もあったんだ」
「(ベッテルが勝利を飾った)マレーシアの後で、私は“これは早すぎたな”と考えていたよ。なぜなら、誰もがF1タイトルさえ狙えるだろうと期待してしまうからね」
「だが、今年の我々の目標は3勝することだ。もし4勝もできれば素晴らしいことだ。来年はまた違った目標を設定することになるだろうがね」
アリバベーネは、イタリアのテレビ局『Sky(スカイ)』にも次のように語っている。
「今年は、我々は地に足を着け、懸命に取り組んでいきたいと思う。そしてメルセデスAMGが問題を抱えるようなことがあれば、そのチャンスを狙っていくよ」