最近のレーシングドライバーには珍しく、F1とスポーツカーを掛け持ちするニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)。彼によると、それぞれのマシンに「大きな違いはない」という。
ヒュルケンベルグにとっては、これからが一年でいちばん忙しい時期だ。
今週末はF1第6戦モナコGPに出場、その足でフランスに向かい、耐久レースの世界最高峰ル・マン24時間の事前テスト(5/29-31)に臨む。それが終わると北米に飛び、F1第7戦カナダGP(6/5-7)へ、次の週末は、ポルシェのプロトタイプ・マシンでル・マン(6/10-14)初出場を果たす。
多忙なスケジュールはさらに続く。ル・マン終了後、彼は東に進路を取り、F1第8戦オーストリアGP(6/19-21)に乗り込むのだ。近年に例を見ないハードな日程である。
フルタイムでF1を闘うと同時に、限定プログラムながら世界耐久選手権に挑む2015年のヒュルケンベルグ。
ところが彼は、フォース・インディアとポルシェの違いをあまり語りたがらない。
「リンゴと梨を比べるようなものだよ」と彼は、ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌に話す。
しかし、タイムが遅くなったといわれるF1は、今や直下のカテゴリーGP2といい勝負だ。スポーツカーと比較するなという方が罪であろう。
5月初旬にスパ・フランコルシャンで開かれたWEC第2戦スパ6時間。このレースに出場したヒュルケンベルグは一周1分54秒台のベストタイムを記録した。昨年のF1ベルギーGPのタイムから、およそ5秒落ちといったところだ。
「それほど変わらない」というヒュルケンベルグ。「WECでは、オー・ルージュは全開だった」
ル・マンのマシンはより出力が大きく、全輪駆動でトラクション・コントロールもある。さらに、今のF1と違って「タイヤをいたわりながらのクルーズ走行はしない」と話す。
「(ミシュラン)タイヤはとても長持ちでね」とヒュルケンベルグ。「年中タイヤの減りを心配しながら走らなくてもいいんだ」