F1公式タイヤサプライヤーであるピレリが、レースをさらに面白いものとするために、今後のレースでは軟らかめのタイヤ選択を増やしていくことにしたいと語っている。
かつて、あまりにも急激に性能低下が起こるタイヤを導入したことで大きな批判を受けたピレリは、F1ルールが大きく変わり、新たなV6パワーユニットが導入された2014年には逆にかなり保守的なタイヤを導入していた。
ピレリは、新レギュレーションでの経験値も増したことから、今年はあまり保守的な方向には走らないと宣言していた。だが、ピレリのF1プロジェクト責任者であるポール・ヘンベリーは、各レースで3回ストップが主流となることを目指したものの、今季もまだそれは達成できていないと認めている。
ヘンベリーは、フィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』に対し、次のように語った。
「もっと軟らかめのタイヤ選択に変えていくことを目指している。特にスーパーソフトの出番を増やしたいと考えているよ」
「恐らく、バーレーン(第4戦)でもそのタイヤ(スーパーソフト)を使うべきだったかもしれない。3回ストップのレースにしたいと思っていたからね」
だが、今年実際にバーレーン・インターナショナル・サーキットに持ち込まれたタイヤはミディアムとソフトであり、多くのドライバーが2回ストップで乗り切る作戦をとっていた。
ヘンベリーのコメントにもかかわらず、今後もピレリにはあまり期待できないという声もある。
ロータスのエンジニアであるマーク・スレイドは、キミ・ライコネン(現フェラーリ)が2012年から2013年にかけてロータスで非常に軟らかめのタイヤで勝利をしていたころに比べるといろんなことが変わっているのだと主張。それに反して、ピレリのF1に臨む姿勢には変化が見られないと批判の声を上げている。
「彼らはまだ“スーパーソフト”と呼んでいるかもしれないが、実際にはそれはソフトコンパウンドなんだ。名前は変わったものの、今のタイヤは以前よりも硬くなっているよ」
そう語ったスレイドは、ピレリが本当に今のF1への取り組み手法を変えようと考えているのかどうか疑問だとし、次のように付け加えた。
「彼らが大きな変化をもたらそうと考えているとは思えないよ。彼らは現在の状況に満足しているみたいだからね」