フランスの放送局『Canal Plus(カナル・プリュ)』が報じたところによれば、フランス籍のF1エンジンサプライヤーであるルノーの2015年型エンジンには、ピストンの設計にミスがあったことが確認されたという。
現在ルノーエンジンを搭載しているのは、世界的エナジー飲料メーカーのレッドブルが所有する2チーム、つまりレッドブルとそのジュニアチームのトロロッソだけとなっている。
今季も信頼性の問題を克服できていないルノーエンジンだが、先週末の中国GP(第3戦)においてもトロロッソの2台とレッドブルのダニール・クビアトのクルマにエンジンに起因するトラブルが発生。レッドブルのダニエル・リカルドが9位でフィニッシュしたのが最高という結果に終わっていた。
中国GPが行われた上海を後にしたルノーのF1エンジン責任者シリル・アビテブールは、次のレースである今週末のバーレーンGP(19日決勝)までほんの数日しかないにもかかわらず、そのトラブルの原因を特定して修理を行い、レースには間に合わせると語っていた。
だが、今回の『Canal Plus(カナル・プリュ)』の報道によれば、今季のルノーエンジンにはピストンに基本的な欠陥があることがこうした問題を発生させる根本的原因となっていたことが分かったようだ。
アビテブールも現在では、「今後6週間以内に打つ手はない」と語っている。
これを受けて、ライバルであるフェラーリのジェームス・アリソン(テクニカルディレクター)は次のようなコメントを行った。
「パワーユニットにはそうした問題があって欲しくないものなんだ。その部品の製造には相当な時間がかかるからね」
アビテブールはさらに、ライバルメーカーに対して後れをとっているパフォーマンスを改善していくためには、残っている今シーズン分の「トークン(その数に応じて開発が認められる引換券のようなもの)」を賢く使う必要があると次のように続けた。
「エンジンテクノロジーは、あるレースでよくなかったからといって一夜のうちに変更できるようなものではないんだ」
「我々は今年のトークンを使うための計画を立てている。だから、後先も考えずにあわててそれを使うという判断をすべきではない。それは長期的に見て最高の選択肢とはならないだろうからね」
興味深いのは、開幕戦後にあれほど強くルノーを批判していたレッドブルも今では落ち着きを取り戻してきたように見えることだ。現在ではレッドブルもルノーとともに懸命に今季型車の改善に取り組んでいくという姿勢を見せている。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー(チーム代表)は、イタリアの『Tuttosport(トゥットスポルト)』に次のように語った。
「明確な目標と指標さえあれば、事態を好転させることだってできるとフェラーリが示して見せている」
「事実に目を向ければ、今は我々にとって素晴らしいときだとは言えない。だが、ルノーは素晴らしい会社だし、能力の高い人たちと、F1での長い成功の歴史を持っているんだ」
そう語ったホーナーは、次のように付け加えた。
「現時点では、何かがうまく機能していない。だが、我々もルノーが問題を把握するために協力していくつもりだ。現時点では、これが最も優先されるべきことだよ」