ザウバーのチーム設立者であり、現在は共働オーナーとなっているペーター・ザウバー(以下、チーム名と区別するためペーターと表記)が、自信あり気に「我々は復活した」と語った。
2012年10月に、共働オーナーであるモニシャ・カルテンボーンにチーム代表の座を譲って以来、表に出る機会も少なくなっていた71歳のペーターだが、3月のF1開幕戦オーストラリアGPが行われたメルボルンには久しぶりにその姿を現していた。
それは、メルボルンにおいて昨年控えドライバーを務めていたギド・ヴァン・デル・ガルデとの間で法廷闘争が繰り広げられることとなったためだった。
決勝のスタート前にアルバート・パーク・サーキットのグリッドに現れたペーターは、記者に対し、「このばかばかしい問題について話すことはできないよ」と語っていた。
だが、それから90分後、ザウバーの2015年型車C34のステアリングを握ったフェリペ・ナッセとマーカス・エリクソンが2人ともポイント圏内でフィニッシュし、2014年シーズンは1ポイントも取れずに終わったチームに一気に14ポイントをもたらしていた。
この2人のドライバーはマレーシア(第2戦)ではノーポイントに終わったものの、先週末の中国GP(第3戦)ではまたいずれもトップ10圏内でチェッカーを受けている。
一時は、昨年のケータハムやマルシャに続き、次に経営破たんに陥るチームだろうと報じられたこともあるザウバーだが、現時点ではメルセデスAMG、フェラーリ、ウィリアムズに続いてコンストラクターズランキングも4番手につけている。まだ3戦を終えたばかりだとは言え、2010年から2013年まで4連覇を飾ったレッドブルの上に立っているのだ。
「我々がこの位置をキープし続けると考えるのは夢物語だ」
スイスの『Blick(ブリック)』にそう語ったペーターは、次のように続けた。
「だが、もし6番手でシーズンを終えることができれば、我々の将来にとっては極めて重要で素晴らしい結果になる」
「我々は上海で、オーストラリアでの結果は単に運がよかっただけではなかったということを示すことができた」
今季大きく躍進したザウバーだが、ペーターはその理由について次のように語った。
「第一の要因は、フェラーリエンジンだね。彼らは大きな進歩を遂げたよ」
「だが、チームも成長したし、改善されている」
昨年までのエイドリアン・スーティルとエステバン・グティエレスに代えて、今季はルーキーのナッセと昨年ケータハムでF1デビューを飾ったエリクソンというドライバー体制となったザウバー。だが、この2人のドライバーについては資金を持ちこむことでシートを得ることができた「ペイドライバー」だとの見方も多い。
だが、ペーターは、次のように今季のドライバーたちを弁護した。
「昨年のドライバーたちが悪かったと言うつもりはない。だが、彼らが高い士気を持っていたかと言えば、そうではなかった。そこが今年変わったところだ」
「我々は、過去3年か4年にわたってフェリペ・ナッセを候補のひとりとして見ていた。我々は彼が大きな可能性を秘めていると確信していたよ」
「そしてマーカス・エリクソンだってそれほど悪くない」
ペーターは、最後に、F1が現在抱えている問題はまだまったく解決には至っていないと次のように締めくくった。
「全体的な状況は、困難かつ切迫したままだ。それはロータスやフォース・インディア、そして我々のようなチームだけに限ったわけではないよ」