マックス・モズレー前FIA(国際自動車連盟)会長に続き、バーニー・エクレストンがF1の危機を唱え始めた。
古くからエクレストンの盟友で、2009年まで前職にあったモズレーは先週、現状のF1では「崩壊」が目に見えると警告を発した。
そしてF1 CEOエクレストンも、ドイツ『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』紙にこう話すのだ。「誰かの間違いでF1が自滅するのを黙って見ていられない」
V8自然吸気エンジン復活を望むエクレストンは、V6ターボ新規則をトラブルの元凶と決めつけている。
「ファンは大音響を、チームは低コストを欲している。しかもレース内容はV8のほうがおもしろい」
だがモズレーの指摘どおり、全チームの承認なしに規則は変更できない。すなわちV8復活はありえないのだ。
メルセデスAMGのトト・ヴォルフも次のようにいっている。「われわれがF1に関わっている大きな理由、それは今のレース技術だ。われわれは、マーケティング戦略をハイブリッド技術の一本に絞って展開している」
それに、今のF1はさほど悪くないと次のように語る。
「ご存知のとおりフェラーリが背後に迫ってきた。もちろん、今も彼らの標的はわれわれだが、さらに別のチームが接近しつつある」
「観客動員数は減っているが、どこもかしこもという訳ではない。例えばイギリスだ。もしかするとドイツは、ミハエル・シューマッハとセバスチャン・ベッテルの時代が長すぎて、F1過多になっているのかもしれない」
いくつかのチームがすみやかな規則変更を必要としていないのは確かで、それがエクレストンにとっては頭痛の種だ。
「失敗したら挽回しようとするのが普通なのに、われわれはトライさえしていない」
「われわれはただ座して、F1が消え去るのを待っているのだ」
彼のいら立ちはヴォルフに向けられる。「さぞかしトトなら、自分の墓石にしゃれた墓碑銘を刻むことだろう。「私はF1滅亡に手を貸しました」とな」
「彼ひとりの仕業とはいわないが、手助けしたも同然だ」
エクレストンは、ジャン・トッド率いるFIAに救いを求めるという。
「私が介入して、FIAを説得するつもりだ」とエクレストン。「もし誰かが文句をいっても、好きにさせておく。われわれが勝利するに決まっているのだから」
「50年にわたって手がけてきたF1を、ただのわがままで潰されてたまるか」