先週末のF1マレーシアGPを終え、今後に向けての大きな疑問となるのは「フェラーリが本当に復活したのか?」ということかもしれない。
【結果】F1マレーシアGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント
マレーシアでは、セバスチャン・ベッテルがメルセデスAMG勢を押さえて、フェラーリ移籍2戦目にして新チームでの初優勝を飾ってみせた。開幕戦のオーストラリアGPでは大きな差をつけてフェラーリに勝っていただけに、これほど早くフェラーリに優勝をさらわれてしまったことにはメルセデスAMG首脳陣も驚きを隠せない。
■まだ自分たちが上だとハミルトン
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、マレーシアGPは自分たちにとっての「警鐘」であったことは間違いないとコメントしていた。
だが、マレーシアで2位に終わったルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、まだ楽観的だ。
ポールポジションからスタートしたものの、セーフティカー導入時の戦略などによってベッテルに先行を許していたハミルトンは、次のように語った。
「それほど騒ぐ必要があるとは思っていないよ。僕は、誰にだってチャンスはあると思っているけれど、蹴(け)りをくらうほどではないよ。ちょっとつねられるくらいかな」
■マレーシアで勝敗を分けたのはタイヤ戦略
マレーシアGPで起きたことが今後も繰り返されることはないだろうと考えている者も少なくない。マレーシアでは週末を通じて路面温度が非常に高くなっていたが、そうしたコンディションのもとでピレリが供給したタイヤを一番うまく管理できていたのがフェラーリだったことは明らかだ。
そして、先ほども書いたが、メルセデスAMGが勝利を逃した原因のうち、一番大きかったのは戦略ミスだったと言えるだろう。
ヴォルフもこれについて、次のように語った。
「無線でのメッセージがうまく伝えられていなかった。2、3度変な通信も行われていたしね」
2週間前のオーストラリアGPであれほど大きなリードを築いていたメルセデスAMGとしては、今回マレーシアでとった戦略はあまりにも保守的過ぎたと言えるかもしれない。
■今後は2台が別の戦略をとる可能性を示唆
ヴォルフは、来週末の中国GP(4月12日決勝)に向けて改良パーツの開発を急がせるとともに、ブラックリーにあるファクトリーではこれまでの考え方を改めることも検討しているとドイツのメディアに次のように語った。
「ひょっとしたら、我々の“フェアプレイ”という考え方に関して、今後何らかの決断をする必要があるかもしれない。それはドイツやイギリスではあまり歓迎されないかもしれないがね」
ヴォルフが言及しているのは、メルセデスAMGではレース戦略に関して、これまではハミルトンとチームメートのニコ・ロズベルグにまったく公平な扱いをしているということだ。
だが、マレーシアGP決勝でもし2人が違う戦略をとっていたら、少なくとも1台のメルセデスAMGが常にフェラーリのベッテルを視野に入れたところでレースをすることができていただろう。
元F1ドライバーであり、かつてマクラーレンやレッドブルで活躍していたデビッド・クルサードも、今回のマレーシアでのレースによってメルセデスAMGには考えるべきことがたくさん生じたに違いないと『Telegraph(テレグラフ)』に次のように語っている。
「これは、メルセデスAMG首脳陣に対する新たなテストだよ。だが、勢いは依然として彼らのほうにあるけれどね」