2月22日(日)にバルセロナでのF1公式シーズン前テスト中に起こったフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)の事故に関して、また新たな展開が見られたようだ。
マクラーレン・ホンダ、そしてマクラーレン・グループの最高経営責任者であるロン・デニスは、これまで一貫してアロンソの事故は予期せぬ突風で起こった通常の事故に過ぎないと主張していた。だが、ここへきてデニスがその事故は不可解な「ミステリー」だと認めたと伝えられている。
■自分は正直ではなかったとデニス
デニスは、2015年F1開幕戦オーストラリアGP(15日決勝)を控えたオーストラリアで次のように語った。
「私が詳しい医学知識を持っていなかったことは別にしても、実際には、あの事故によって意識を失ったことの結果として脳震とうが引き起こされていたんだ。私にはよくあることだが、不正確なことを言ったせいで多くの批判を受けることになってしまった」
「それも人生だ。私はそれに耐えねばならない」
「なぜメディアが私をたたき続けているのかは理解しているよ。私は正直に隠し事をしないつもりだったが、失敗してしまった。だが、今後は可能な限り正直になろうと目指しているよ」
■デニス、アロンソのマレーシアGPでの復帰を明言せず
当初、アロンソは気を失ったりなどしていなかったと主張していたデニスだが、今では脳震とうを起こした後、21日間は様子を見なくてはならないためにアロンソが開幕戦を欠場することになったのだと素直に認めている。
だが、奇妙なことに、デニスはその事故から5週間後に行われるF1マレーシアGP(29日決勝)に間違いなくアロンソが出場できると断言することもなかった。デニスはアロンソのマレーシアGP出走に関し、次のように語った。
「私が知る限りにおいて、フェルナンドはマレーシアに行くことになるだろう。そうなって欲しいと願っているが、それは私ではなく、彼が判断することだからね」
■このミステリーに結末があるかどうかは分からないとデニス
FIA(国際自動車連盟)もすでにアロンソの事故原因調査に動いているが、長年アロンソのマネジメントにもかかわってきた元F1チーム代表のフラビオ・ブリアトーレは、マクラーレンにもあのとき何が起こったのかをはっきりとさせる義務があると主張している。
だが、デニスは、「このミステリーに関し、厳然たる事実が明らかになるかどうかはまだ分からない」と語るのみだった。
一方、マクラーレン・ホンダの事故が、エネルギー回生システムであるERSによる感電によって引き起こされたのではないかとのうわさがささやかれる中、事故原因が解明できないうちは同様のシステムを搭載したF1カーでレースをするべきではないとの声もある。
レッドブルのダニエル・リカルドは「何も心配していない」と語っているが、実際にアロンソが事故を起こしたマクラーレン・ホンダMP4-30でメルボルンでのレースに臨むのはチームメートのジェンソン・バトンと、控えドライバーのケビン・マグヌッセンだ。
バトンは、メルボルンの『Age(エイジ)』紙に次のように語った。
「クルマに何らかの問題があったことを示すデータは何もないよ」