ジャン・トッドFIA(国際自動車連盟)会長のことばを聞いていると、よほどのことがない限り現行のV6ターボ規則を大幅に変えるのは難しい。
たとえ変更を唱えるバーニー・エクレストンの声がエンジン音より大きいとしてもだ。
エクレストンばかりではない。圧倒的な強さを見せるメルセデスAMGの会長ニキ・ラウダも技術規則のテコ入れを唱えている。
先日フェラーリが発表した、未来のF1マシン像をアグレッシブに描いた図画も「興味深い」とラウダはいう。
「今のマシンはよほど楽チンなのか、17歳の少年(マックス・フェルスタッペン)にも乗れる」と、オーストリアのマスコミに話すラウダ。「もういちどF1を乗りにくいマシンにしなければならない」
ところがトッドFIA会長は、V6ターボ規則を変えたがらない。
トッドは、「V8自然吸気からV6ターボへのスイッチは、かなり画期的な決断だったと思う」とアメリカ『New York Times(ニュー・ヨーク・タイムズ)』紙に語った。彼は、ハイブリッドの採用がF1にとって必要不可欠だったと考えている。
「F1はモータースポーツ界の最高峰だ。社会の手本となるべき存在なのだ。固く閉ざした門の向こうで世界の潮流を避けてばかりでは何も変わらない」とトッド。
しかし、V6ターボは間違いなく高価だ。何しろ、ケータハムが姿を消して旧マルシャも生き残りに四苦八苦しているのが現状である。中堅チームさえ、目に見えて苦しんでいる。
F1は今でも勢いがあるとトッドはいう。チームが消えて無くなるのは「今に始まったことではない」
「2016年には新規チームが参入する」と話すトッド。アメリカからF1に挑戦するハースだ。「そして、一部のチームを勇気づけようと、コスト削減を視野に再び提案をするつもりだ」