バルセロナで行われた今年2回目のF1公式シーズン前テストで起きたフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)の事故に関しては、すでにF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)も調査に乗り出したと伝えられている。
マクラーレンでは、2月22日(日)に発生した事故は突風によってアロンソがコースをはずれたことによって起こったものだと主張している。だが、それにもかかわらず、F1関係者の間には、壁に激突する前にすでにアロンソが気を失っていたのではないかとのうわさがいまだにささやかれ続けている。
その理由のひとつには、あのアロンソのクラッシュが、4日にわたる入院が必要なほど大きな事故には見えなかったということがある。
アロンソが着用していたヘルメットは全くの無傷だったと伝えられているが、実際の衝撃データを見ても、それほど強く壁に激突していたわけではないことが示されている。
アロンソがステアリングを握っていたマクラーレン・ホンダMP4-30に備えられていた衝撃センサーは30Gもの衝撃を受けたことを記録しているものの、アロンソの耳に装着されていたセンサーは、その半分ほどの数値しか示していなかった。
フォース・インディアのセルジオ・ペレスは、かつてザウバーでドライブしていた2011年のモナコGP予選で、やはりクルマの側面から壁に激突する事故を起こしたことがある。
「あのとき自分が受けた衝撃は最大60Gに達していた」と語ったペレスは、あれは今回のアロンソの事故とは「比べ物にならないものだった」と続けている。その事故で脳震とうを起こしたペレスは翌日の決勝を欠場。次戦のカナダGPでは金曜フリー走行1回目に出走するも、体調不良を訴えてその後のセッションをキャンセル。結局2レースを欠場することとなっていた。
「彼の回復を祈っているし、すぐに戻ってくることを願っている」とペレスは付け加えた。
ドイツ人記者のラルフ・バッハは、自身の『f1-insider.com』のブログに、マクラーレンが否定しているにもかかわらず、アロンソが感電していたのではないかとのうわさがいまだにささやかれ続けていると書いている。
バッハによれば、感電した患者にはしばしば混乱や記憶喪失といった症状が認められるという。そして、事故直後にはアロンソが混乱し、まだ自分がフェラーリのドライバーだと思っていたようだという情報も紹介している。
さらに、バッハは、メルセデスやルノーがドライバーの感電防止のために5つの安全装置をパワーユニットに装着しているのに対し、ホンダのパワーユニットには3つしか設けられていないと指摘。
バッハは、そうした電気ショックに関しては、テレメトリーでは確認できない可能性もあると付け加えている。