物議をかもしたシーズン中のヘルメット・デザイン変更禁止。トト・ヴォルフは、この措置に理解を示す一人だ。
F1では、一人のドライバーが何度もヘルメットの色を変えるのが近年のトレンドだ。ところが先日開かれたF1委員会の決定で、今後は変更が認められなくなる。
そのことは既に2015年規則に明文化されている。いわく、ドライバーは毎戦「基本的に同一の意匠」を施したヘルメットでレースをしなければならない。「ドライバーが容易に見分け」られることが大前提だ。
2007年のF1デビューから少なくとも60回はヘルメットの色を変えているセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は、こうした動きを「バカげている」と断じた。
規則の導入は広く物議をかもしている。確かにエンジン規則やコスト削減などの懸案は進展が見られないが、ヘルメットの件は単にタイミングの問題ではないか。メルセデスAMG会長のトト・ヴォルフは、そのように考えている。
「F1委員会はドライバーのヘルメット以外に話すことがないのか。そう思われても仕方ない」と『Sky(スカイ)』に話すヴォルフ。
「実をいうと、グランプリ主催者はレースのPRに四苦八苦しているのだ」
F1委員会を構成しているのはバーニー・エクレストン、FIA(国際自動車連盟)、それに各チーム代表だけではない。スポンサーや主催者もメンバーなのだ。
ヴォルフの説明によると、超マニアはF1ドライバーのヘルメット変更を苦もなく把握するが、たまにしかF1を見ないテレビ視聴者にはお手上げだ。
そのため、ドライバーの見分けは「重要な」課題となっているという。
「課題を克服するには、ゼッケンを巨大にするのがひとつの方法だ。だがそれはわれわれにとって好ましくない。だったら、よりドライバーを見分けやすくするにはヘルメットしかない」とヴォルフ。
「レース主催者は、ヘルメットがチケット・セールスに影響ありと考えている。重い意見だ」