マルシャ改めマノーにとって2月28日(金)は、きわめて重要な一日となった。
マノーのためにわざわざ締切を遅らせていたFIA(国際自動車連盟)の2015年F1エントリーリストが27日(金)、発表されたのだ。
旧マルシャの2014年型車を2015年仕様に改造するためマノーに与えられた残り時間は、あと一週間。そのあいだにFIAが義務付けている耐衝撃テストに合格し、機材類を含め荷造りを済まさなければならない。オーストラリアに向けて飛ぶ貨物便の受付締切は、3月6日(金)だ。
FIA立ち会いの耐衝撃テストは、3月5日(木)に予約が入っている。F1貨物便締切のわずか一日前である。
■ドライブは誰が?資金は?マシンの戦闘力は?
約50万ドル(約5,980万円)のF1エントリー料は、すでに支払い済だ。ドライバーの一人には新人ウィル・スティーブンスの名が登録されている。
もうひとつのシートには、マクラーレンの育成ドライバー、ケビン・マグヌッセンとストッフェル・ファンドールネが候補に上がっているという。
そのマクラーレンは、マルシャからマノーに変わった今年も同チームに技術協力を続けるほか、風洞施設も貸し出す。マクラーレンと同様に昨年から技術協力の代金支払いを猶予しているフェラーリも、彼らに2014年仕様のエンジンを供給する構えだ。しかし、ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌によると「前もって1,000万ユーロ(約13億3,900万円)が支払われてから」の話だ。
マノーのバックに英大手小売チェーン、セインズベリーの元CEOジャスティン・キングが付いていることは、すでに知られている。さらに27日(金)、英エネルギー業界の寵児(ちょうじ)スティーブン・フィッツパトリックの存在も明らかになった。
フィッツパトリックは、イギリスでオーヴォ・エナジーという電気とガスの会社を経営している。
マノーはイギリス国籍のチームとなるはずだ。新規オーナーがイギリス人というだけでなく、チーム創設者のジョン・ブースも同国出身で、チームの新しい本拠地はヨークシャー州にある。
だが、マノーのF1参戦は決して成功を保証されたものではない。
第一に、マシンは絶望的に遅いだろう。他の各チームは2014年から一周あたり1秒以上、進歩している。
「10秒ぐらい遅かったらどうするつもりだろうね」とブログ『f1-insider.com』に話すのは、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)だ。「そうなれば、かえってカムバックしないほうがいいんじゃないかな」
それほどの遅れは、予選の107パーセント規則(ポールポジション・タイムの1.07倍以上は自動的に予選落ち)にも触れるだろう。
■疑いの目を向けるエクレストン
また、一説にバーニー・エクレストンは、マノーの背後にいる投資家たちを信用していない。2014年の成績に応じて彼がマノーに支給する年間賞金およそ4,700万ドル(約56億2,200万円)目当てではないかというのだ。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のミハエル・シュミット記者はいう。「どうやらエクレストンは、年間賞金と同額の4,700万ドルを銀行に預金するようマノーの新オーナーたちに要求したらしい。彼らのF1参戦プロジェクトが正当なものか確かめたいのだ」
「現時点で、彼らの銀行には十分の一の預金高しかない」とシュミット記者は伝えている。