元銀行家のゲルハルト・グリブコウスキー受刑囚は、F1 CEOバーニー・エクレストンから「わいろ」で得たと主張していた4,400万ドル(約52億3,500万円)の四分の一にあたる金額を手放した。
エクレストンは昨年、汚職事件で裁かれていたドイツで当局に1億ドル(約119億円)を支払い、和解にこぎつけた。
ところが、エクレストンから金を受け取った側のグリブコウスキーは今も収監中だ。
以前、F1の商業権はミュンヘンに本店を置く州立バイエルン銀行のものだった。検察側は裁判で、エクレストンから金を受け取って権利を不当に安値で売り渡したとグリブコウスキーを追及したのだ。
独経済誌『Manager Magazin(マネージャー・マガツィン)』は20日(金)発行の最新号で、ある記事を掲載する。グリブコウスキーがエクレストンから得た4,400万ドルのうち、1,250万ドル(約14億8,600万円)を前の雇い主バイエルン銀行に支払ったという内容だ。
グリブコウスキーは、エクレストンから金を受け取ると隣国オーストリアに基金を設立、保管していた。金はその基金から出された。
その名も『Sonnenschein(ゾネンシャイン)』、日本語で「陽の光」という名の基金だ。
バイエルン銀行はコメントを避けたが、グリブコウスキーの弁護士ダニエル・エイムラングは、「多額の賠償金」を支払ったと認めた。
同銀行は現在もエクレストンと民事で争っていて、4億1,500万ドル(約493億円)もの賠償金を彼に請求している。エクレストン側は、あくまで争う姿勢だ。
「和解する気などさらさらない」とエクレストンは今月、F1経済記者のクリスチャン・シルトに語った。
「和解に持ち込めると考えたら大間違いだ。銀行側も、”とりあえずトライ”する格好を見せなければ気が済まないのだろう」と、イギリス『Express(エクスプレス)』紙に語ったエクレストン。「裁判は進展している。私からはぜったいに折れない」