2015年のF1シーズンを迎えるにあたって、大きな疑問として残されているのが、各F1エンジンメーカーがどのように「開発凍結緩和」に対処していくのかということだ。
当初、F1エンジンメーカーであるメルセデス、フェラーリ、ルノー、そして今年から復帰参入するホンダは、シーズン中のエンジン開発が凍結されるはずだった。だが、そのルールに抜け穴が見つかったことにより、今年はシーズンを通じて一定のトークン(開発引換券のようなもの)の範囲でエンジンのパフォーマンス改善につながる開発を継続することが認められている。
このため、昨年最強を誇ったメルセデスでは、その利を生かすために今シーズンは当初昨年仕様のエンジンでスタートし、32枚のトークンを使って2015年シーズン中に自由にエンジン開発が継続できるようにするつもりではないかとのうわさまでささやかれていた。
だが、メルセデスAMGのエンジン責任者であるアンディ・コーウェルはそのうわさを否定し、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「我々は2015年仕様エンジンでシーズンを始めると断言できるよ」
「我々は、多くの新たなアイデアを、内燃機関や内部摩擦、そしてエネルギー変換につぎこんだ。そして12日におよぶテストを行った上で信頼性の問題のないものをメルボルンに持ち込むことになる」
だが、最近の報道によれば、エンジンメーカー各社はかなりのトークンを使わずにキープしておく作戦をとるようだとされている。これは2016年シーズンに向けたパワーユニットの開発も視野に入れた戦略的な判断もあってのことだという。
「我々のエンジンの進歩にどれほどの信頼性があるかをベースとして決定することになるだろう」
そう語ったコーウェルは次のように続け、その可能性を認めている。
「新しいルールではシーズンが終わるまでの間に32枚のトークンを使って開発を行うことができる。これによって、重要な開発にさらに時間をかけることができることになるからね」
コーウェルは、全部で32枚のトークンを利用してV6ターボ・パワーユニット全体の48パーセントまで開発が許されるということは、エンジンメーカーは今年「相当な範囲」でエンジンに変更を加えることができるだろうと予想している。