先日のヘレス合同テストでルノーは真のエンジン性能を見せなかったと報じられたところ、彼らもそれを認めた。
今年ルノーを使うのはワークスチームのレッドブルと、カスタマーのトロロッソ。昨年までルノーの顧客だったロータスはメルセデスにくら替えした。この冬、スペイン・ヘレスで行われた初のF1合同テスト(2/1-4)でレッドブルの新車RB11は、ペースも走行距離も低迷。厳しいテスト・シーズンのスタートとなった。
このマシンには、昨年型から大改造が施されたルノーの新「パワーユニット」が搭載されている。社内の組織を一から見直し、エンジン開発凍結解除手形の「トークン」を惜しげなく使った結果だ。
ヘレス合同テスト後、レッドブルのヘルムート・マルコ博士はヘレスの技術トラブルについてコメント。RB11は「新旧パーツの組み合わせ」で走らせ、エンジンも「わざとパワーを落とした」と語っていた。
ルノーの開発責任者レミ・タフィンがフランス『F1i』に述べたところによると、2015年型パワーユニットは確かに「80ないし90パーセント」の力で回っていたという。
そして、ルノーとしては今後「徐々にペースを上げ、シーズン開幕までには100パーセントに達するよう勢いを増していきたい」との意向だ。
「ヘレスでは、潜在能力としてエンジンが持つスピードの1.5秒落ちだった。しかし、走行距離を延ばすにはパワーをセーブせざるを得なかった」とタフィン。
「次のバルセロナでは、もっとエンジン性能を重視し、限界点を探る」
新V6ターボ時代が始まったばかりの2014年シーズン序盤に苦しい思いをしたルノー。昨年クリスチャン・ホーナーは、メルセデスとのパワー差は75馬力に及ぶと明らかにした。
「われわれは間違いなく前進した」と語るタフィン。「だが、ライバルたちと比較をするのは難しい。彼らだって進化したはずだ。われわれほどではないことを願う」
レッドブルのデザイナー、エイドリアン・ニューイは今、一歩下がった立場からチームを見守っている。2015年、彼らの今季型パッケージがメルセデスAMGを負かす実力があるかどうかは、彼にも分からない。
「相手にアドバンテージを取られると、挽回は難しい」とニューイはいう。「エンジンは、頭で考えたものを形にするまでのリードタイムが非常に長い。車体を造るのとはわけが違うのだ」
「しかし、ルノーは懸命に働いている。われわれはパートナーを信用しなけばならない」
2014年シーズン、非メルセデス・ユーザーでレースに優勝を遂げたのは、今季チームのナンバーワンで常に前向きなダニエル・リカルドだけだ。彼は2015年F1のタイトルを全力で狙いにいく姿勢である。
ニューイにはそれが可能かどうか不明だ。
「私が考えるに、それは著しく困難だ」と悲観的なニューイ。「昨年、メルセデスは10パーセントのパワー差を誇っていた。わずか一シーズンで取り返せるような数字ではない」
「やはり実際のところ、われわれは不利な立場に置かれるだろう」、それがニューイの結論だ。「それでもプッシュはし続ける」