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【ヘレステストまとめ】昨年より信頼性・タイムともに向上。ホンダにとっては厳しいスタート

2015年02月06日(金)16:50 pm

2月1日(日)から4日間にわたってスペインのヘレスで今年最初のF1公式シーズン前テストが行われたが、F1公式サイトがそのデータをまとめているので、その内容を紹介しよう。

今年は、昨年経営破たんに陥ったケータハムとマノー(マルシャ)が参加していないことに加え、フォース・インディアも今回のテスト参加を見送ったため全8チーム16名のドライバーによってテストが行われた。なお、ロータスは2日目からの参加となっている。

■最速タイムは昨年より約2秒半短縮

まず、4日間を通じた各ドライバーのベストタイム順は次のようになっている。最速タイムはフェラーリのキミ・ライコネンが4日目に刻んだ1分20秒841だった。2番手に同じフェラーリのセバスチャン・ベッテルが1分20秒984で続いている。ただし、ライコネンがベストタイムを刻んだときに履いていたのはソフトタイヤ、ベッテルの最速タイムはミディアムで記録されたものだ。また、3日目にフェリペ・ナスル(ザウバー)がマークしたトップタイムもソフトタイヤでの記録となっている。

なお、2014年に同じヘレスで行われたテストでの最速ラップは、マクラーレン・メルセデスのケビン・マグヌッセンが記録した1分23秒276だった。細かい条件の違いなどは分からないものの、単純に見れば昨年よりもタイムにして1周あたり2秒半ほども改善されたことになる。

<ベストタイムランキング(ドライバー/ベストタイム/合計周回数)>
1. キミ・ライコネン(フェラーリ)/1分20秒841/200周
2. セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)/1分20秒984/149周
3. フェリペ・ナスル(ザウバー)/1分21秒545/197周
4. ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)/1分21秒982/308周
5. マーカス・エリクソン(ザウバー)/1分22秒019/185周
6. ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)/1分22秒172/208周
7. フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)/1分22秒276/144周
8. バルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)/1分22秒319/134周
9. マックス・フェルスタッペン(トロロッソ)/1分22秒553s, 170周
10. パストール・マルドナード(ロータス)/1分22秒713/137周
11. カルロス・サインツ(トロロッソ)/1分23秒187/183周
12. ダニエル・リカルド(レッドブル)/1分23秒338/84周
13. ロマン・グロージャン(ロータス)/1分23秒802/53周
14. ダニール・クビアト(レッドブル)/1分23秒975/82周
15. ジェンソン・バトン(マクラーレン)/1分27秒660/41周
16. フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)/1分35秒553/38周

■信頼性で群を抜くメルセデスAMG

次に、チーム別の合計周回数ランキングを見てみると、メルセデスAMGが頭ひとつ抜き出ていることが分かる。最初のテストでこれだけの周回が重ねられたということは、基本パッケージのレベルや信頼性が高いことを意味するものであり、ライバルチームにとっては脅威となる数字だろう。

<チーム(搭載エンジン)別合計周回数/走行距離>
1. メルセデスAMG/516周/2,284km
2. ザウバー(フェラーリ)/382周/1,691km
3. トロロッソ(ルノー)/353周/1,563km
4. フェラーリ/349周/1,545km
5. ウィリアムズ(メルセデス)/278周/1,230km
6. ロータス(メルセデス)/190周/841km
7. レッドブル(ルノー)/166周/735km
8. マクラーレン(ホンダ)/79周/349km

■厳しい結果をつきつけられたホンダ

エンジン(パワーユニット)別の周回数でもやはりメルセデスがライバルメーカーよりも多くなっている。今年からメルセデスエンジンを搭載したロータスが2日目からの参加となっていたが、仮に初日から参加していたとすれば平均でもフェラーリより多くの周回をしていたことは間違いないだろう。フェラーリエンジンの信頼性も高いと見ることができるが、やはり合計での周回数が多ければ多いほど、入手できるデータも増えるため、このデータもメルセデスにとって有利であることを示すものととらえていいだろう。

チームが発表したコメントによれば、ホンダもまだそれほど悲観的な受け止め方をしていないように見えるが、長丁場のシーズンを戦っていく上では非常に厳しいスタートとなったのは事実だろう。ドライバーの観点から見ても、すでに300周もこなしたロズベルグのようなドライバーがいる一方、それぞれ40周前後しかできなかったということはマクラーレン・ホンダのアロンソ、バトンにとっても今後に向けて大きなハンディとなりそうだ。

<エンジン(パワーユニット)別合計周回数/走行距離(チーム数)>
1. メルセデス/984周/4,357km(3チーム)
2. フェラーリ/731周/3,236km(2チーム)
3. ルノー/519周/2,298km(2チーム)
4. ホンダ/79周/349km(1チーム)

■タイヤの学習も進んだロズベルグ

以下に示すのは、タイヤコンパウンド別の最長スティント(同じタイヤでの連続走行周回数)を示したものだ。これを見ると、メルセデスAMGのロズベルグがミディアム、冬用ハード、ハードに加えて水量が少ないとき用のレインタイヤであるインターミディエイトでいずれも最長スティントをこなしていたことが分かる。最初のテストが終了した時点では、クルマやタイヤに関する学習という意味で一歩リードしたのがロズベルグだという見方もできそうだ。

<タイヤコンパウンド別最長スティント(ドライバー/記録日)>
ソフト/19周(パストール・マルドナード/3日目)
ミディアム/29周(ニコ・ロズベルグ/1日目)
冬用ハード/34周(ニコ・ロズベルグ/1日目)
ハード/42周(ニコ・ロズベルグ/1日目)
インターミディエイト/25周(ニコ・ロズベルグ/3日目)
ウエット/4周(フェリペ・ナスル/2日目)

■全体的な信頼性は1年でかなり向上

2013年までの自然吸気V8エンジンとはまったく異なる新規格のV6ターボ・パワーユニットが導入された2014年は、ルノーが出だしで大きくつまずき、レッドブルや当時ルノーを搭載していたロータスなどはほとんど走行できないに等しい状況となるなど、メルセデスとライバルメーカーの信頼性の差が大きく開いていた。

だが、新レギュレーションでの2年目となった今年は、各エンジンメーカーも大きく性能を向上させてきており、昨年よりも差が小さくなるとともに、周回数も圧倒的に増えている。昨年はメルセデスAMGのほぼ一人勝ち状態だったが、今シーズンは昨年よりもきっ抗したレース展開、タイトル争いが展開されることになるかもしれない。

<昨年との周回数比較>
2014年:合計1,470周(6,509km)
2015年:合計2,294周(10,156km)
※2015年は前年比56%の増加となった

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