フェラーリの最高責任者であるセルジオ・マルキオンネが、フェラーリが本拠地をイタリアからイギリスに移すのではないかとのうわさを否定した。
2008年にコンストラクタータイトルを獲得して以来、F1タイトルから遠ざかっているフェラーリ。新たなV6パワーユニット導入の年となった2014年にも低迷したことを受け、長年会長として君臨してきたルカ・ディ・モンテゼモーロに代わって新たにフェラーリの最高責任者に就任したマルキオンネによる大規模なチーム改造が進められている。
だが、人材配置を一新したとしてもすぐにその効果が表れるほどF1も単純なものではない。マルキオンネも、2015年もフェラーリにとっては困難な年となるだろうと認めている。
そのフェラーリだが、1980年代後半には競争力を高めるためにF1カー設計者のジョン・バーナードと契約を結び、イギリスをベースとして活動を行ったという経緯を持っている。
最近では、天才F1カー設計者との呼び声も高いイギリス人エンジニアのエイドリアン・ニューイ(レッドブル/最高技術責任者)の獲得に動いたもののこれに失敗したフェラーリでは、再び優秀な人材が多いイギリスに本拠を構えることも検討しているのではないかとのうわさもささやかれていた。
イギリスはもともとモータースポーツの拠点とも言える地区であり、F1でも2014年シーズン開幕時には全11チーム中8チームがイギリスに開発拠点を置いていた。アメリカのシリコンバレーにならって「モータースポーツバレー」とも呼ばれるイギリスがF1界でも中心地となっているのは間違いなく、フェラーリもイギリスに本部を構えたほうが今後に向けて有利だろうというのがそうしたうわさの根拠となっている。
だが、マルキオンネはそうしたうわさを一蹴(いっしゅう)した。
「フェラーリはイタリアなんだ」
そう『Speedweek(スピードウィーク)』に語ったマルキオンネは、「これに関しては今後も手を付けられることはない」と付け加えると、さらに次のように主張した。
「フェラーリはイタリアで造られなくてはならないんだ。それ以外は(フェラーリへの)冒とくになる」
イタリア生まれのカナダ人である62歳のマルキオンネは、イタリアの名門自動車会社であるフィアット、さらにはアメリカのクライスラーを再建したことでも知られている。そのマルキオンネは現在F1で苦戦が続くフェラーリの立て直しに注力している。
「私はすでに自分の生活を簡略化したんだ。電話も3台しか持ってないしね」
笑いながらそう語ったマルキオンネは、次のように付け加えた。
「だが、現時点では私はほぼ飛行機の中で暮らしているというのも事実だよ」