先週、ドイツの大自動車会社フォルクスワーゲン傘下にあるポルシェのマティアス・ミューラー最高経営責任者が、ポルシェがF1参戦するといううわさを否定したものの、それでもフォルクスワーゲンとしてF1参戦のチャンスをうかがっているようだとのうわさが消えることはないようだ。
ミューラーは先週、「我々はLMP1にこそ未来があると考えている」と語り、それに対してF1の将来は「さらに難しいものとなってきているように見える」と付け加えていた。
ポルシェは2014年からル・マン・シリーズと呼ばれるWEC(世界耐久選手権)の最高峰カテゴリーであるLMP1に復帰し、2013年までレッドブルでF1ドライバーを務めていたマーク・ウェバーなどを擁して戦っていた。そして2015年シーズンにはウェバーに加え、フォース・インディアの現役F1ドライバーであるニコ・ヒュルケンベルグもル・マン24時間レースにポルシェから参戦する予定となっている。
だが、これまで何度も繰り返してF1参戦を否定してきたフォルクスワーゲン・グループだが、そのブランドのいずれかひとつが近いうちにF1に参戦するのではないかとのうわさがやみそうな気配はない。
ポルシェの最高責任者が強く否定した今、最も可能性が高いと思われているのが、やはりフォルクスワーゲン参加のブランドであるアウディだろう。アウディには昨年4月までフェラーリのチーム代表を務めていたステファノ・ドメニカリが加わっており、そのドメニカリのもとにF1参戦の準備活動が進められているといううわさもささやかれている。
ミューラーも、そのうわさは耳にしたことがあるとし、ドイツの『DPA通信』に次のように語った。
「またそういううわさが流れているようだが、どこからそれが出てきたのかまったくわからないよ」
「はっきり言っておくが、最近の数か月の間に私が加わった話し合いの場で、そのこと(F1参戦)が真剣に議論されたことなどなかった」
「F1にはかなりの金がかかるしね。私は、成功した会社(F1チーム)が1年につきどれほどの投資を行っているのかということを知っているんだ」
さらに、ミューラーは、現在のF1最高責任者であるバーニー・エクレストンが最終的にその職から離れることはF1を不安定な状態にしかねないと示唆するとともに、「だから、我々にとってはそのこと(F1参戦)をばくぜんとした形でさえ考えるようなことはないと言えるよ」と付け加えている。