フェラーリが、後手に回った状態で2015年シーズンに向かうしかないと認めている。
イタリアの名門F1チームであるフェラーリでは、新たに迎えたV6ターボエンジン時代のスタートに大きくつまずいたことで、首脳陣を一新するチーム改革を進めている。一方で、現在のエンジン開発を制限するルールの緩和を強く求めていたが、それも実現には至らず、2014年シーズンには結局1勝もできずに終わっている。
22日(月)に記者たちとの会見に臨んだ新社長のセルジオ・マルキオンネと、新チーム代表であるマウリツィオ・アリバベーネは、現在、フェラーリが抱える問題への対応を進めてはいるものの、2015年型車の開発さえ遅れ気味であることを認めている。
■F1未経験のチーム代表を立てたことが誤りだった
マルキオンネは、2014年には重大な「誤り」がいくつかあったとし、そのひとつが更迭された元チーム代表のステファノ・ドメニカリに代えてF1経験のないマルコ・マティアッチを任命したことだったかもしれないと次のように語った。
「私は市販車販売のエリアにおいて彼(マティアッチ)が成し遂げた成果には大きな敬意を抱いている。だが、F1はまた別の問題だ」
「彼はまだ自分の仕事について学んでいる状態だった。だが、フェラーリが置かれていた状況を考えれば、我々はチーム代表が経験を積むまでチームを再建するのを待つわけにはいかなかったんだ」
人材面においては、フェラーリでは革命的とも言える大改造が進められている。22日(月)には2014年シーズンにメルセデスAMGでルイス・ハミルトンのF1タイトル獲得のために尽力していたエンジニアのジョック・クリアの加入も正式に発表されている。
現在、フェラーリではクリアの「ガーデニング休暇」を早期に終了させることに関してメルセデスAMGとの交渉を行っている。そうなれば、クリアはすぐに前エンジニアリングディレクターのパット・フライの後任という位置付けとなるとみられている。
■人材面ではほぼ体制確定
一方、マティアッチの後を受けて今季の最終戦後にフェラーリの新チーム代表に就任したアリバベーネは、元メルセデスAMGのテクニカルディレクターであったボブ・ベルや、前メルセデスAMGチーム代表のロス・ブラウン、さらには天才F1カーデザイナーと称されるレッドブルの最高技術責任者エイドリアン・ニューイなどもフェラーリに加入するのではないかとの一連のうわさを否定し、次のように主張した。
「チームはあの通りだ。今後は大きなニュースの発表予定もなければ、驚くようなこともないよ。我々は現在のスタッフたちに信頼を置いている」
■2015年型車については一から見直し
だが、マルキオンネは、劇的な体制変革が行われている一方で、2015年型フェラーリF1カーに関しては基本的な設計自体が予定通りに進んでいないことも認め、次のように語った。
「残念ながら、神様がレーシングカーを製造してくれるわけではないからね」
マルキオンネは、「いくつかの誤り」はこれまでのチームの基本的な体制のもとで生まれていたとし、2015年型車はすでにF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)によって義務付けられているクラッシュテストにもすべて合格したものの、その設計は基本的に見直されていたことを明らかにしている。
「以前のチームリーダーが戦略的な決定を下したが、私はそれに対して反対していた」
そう語ったマルキオンネは、『La Repubblica(レプブリカ)』に次のように続けた。
「その決定とは、2014年型車と2015年型車の準備に関するものだ。今季の結果や、どれだけの予算をかけて、今どういう位置にいるのかということを考えたとき、手短に言えば、それは誤りだったと言わざるを得ない」
「我々が今スケジュール通りに進めることができていないのはそのためだ。ほかの人々によって決定された選択のもとにスタートしていたからね。2015年も難しい年になるだろうし、チーム全体に重圧がのしかかることになるだろう」
■2015年、まずは2勝が目標
レッドブルから移籍してきた4年連続F1チャンピオンであるセバスチャン・ベッテルにとっては来季がフェラーリでの初年度となる。だが、ベッテルが2015年からすぐに大活躍を見せることを期待するのはどうやら難しそうだ。
「もし2レースで優勝できれば、成功だと言えるだろう」と語ったアリバベーネは、「3勝できれば大勝利だよ」と付け加えた。
これを聞いていたマルキオンネは、次のような冗談で締めくくっている。
「4勝できたら、天国だよ」