2016年からのF1参戦を目指すハースF1のオーナーであるジーン・ハースが、混乱の続くフェラーリの動向ついて今後も注意深く見守っていくと語った。
今年、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)から2016年のF1参戦承認を得たハースは、その後フェラーリとの間に、カスタマーエンジンや「関連するすべての技術的サービス」の供給を受けるという契約を結んでいる。
そして、すでに今シーズンからハースが経営する産業工作機械メーカーであるハース・オートメーションがフェラーリのスポンサーにもなっていた。
だが、今季、新たなV6パワーユニット時代へのスタートに失敗したフェラーリでは、その後トップを含め人事体制にも大きな変化が生じている。
■自分が交渉をしてきた人たちはみんないなくなった
ハースが交渉を行っていた時期にフェラーリを統括していたルカ・ディ・モンテゼモーロ(前会長)やマルコ・マティアッチ(前チーム代表)もすでにチームを離れてしまっている。こうした中、ハースも今後に向けて不安を感じないはずはないだろう。
『Sports Business Daily(スポーツ・ビジネス・デイリー)』からそのことに関する質問を受けたハースは、次のように答えた。
「いい指摘だね」
「私には分からない。上層部は自分たちが行っていることを分かっていると思っているよ。彼らが職を失ったことに関して、我々のことが影響したのではないことを祈っているがね」
ハースとのインタビューを行った記者のリー・ディフィーは、昼食後、ハースが次のように語ったと書いている。
「私が話をした者はみんなクビになってしまったんだ。私は話をするのをやめたほうがよさそうだね」
さらに、ハースは次のように続けた。
「フェラーリは大きなプレッシャーを抱えている。フェラーリは間違いなく花形自動車メーカーだし、F1は彼らにとって花形のレースシリーズなんだ。だから彼らは勝ちたいと願っている」
「そのための大きなプレッシャーがあるんだ。私はそれを尊重するしかない」
■すべてが挑戦だとハース
そのハースにも大きなプレッシャーがあることも確かだ。ハースは一からF1チームの立ち上げを図っており、しかもヨーロッパ以外の地域に本部を構える唯一のF1チームということになる。
そして、ハースが新規にF1チーム立ち上げを進めているのと時を同じくして、F1には大きな逆風も吹いている。ケータハムとマルシャが経営破たんに陥ったのを始め、ほかの小規模プライベートチームも生き残ることが難しくなるかもしれないという状況を迎えている。
ハースも、「F1には多くの落とし穴があるね」と認め、次のように続けた。
「多くのチームがたくさんの問題を抱えているのを見てきたよ。金の問題があるんだ」
「我々が耳にしている限りにおいては、F1にはさまざまな悪意がうごめいているようだ。私はそれも挑戦だと思っている。いくつかのF1レースを見に行ったよ。関係者たちとも会った。私は彼らが好きだよ。みんないい人たちばかりだ」
だが、ハースは2016年に向けたF1カーの製造という仕事だけをとってみても「うちのめされてしまいそう」だと認め、次のように付け加えた。
「もし失敗すれば、悲惨なことになるからね」