今週末のF1最終戦アブダビGPで僚友ルイス・ハミルトンとの心理戦に忙しい、ニコ・ロズベルグ。F1世界タイトルがかかっているのだから、それも当然だ。
■【王者争い】ハミルトンvsロズベルグ、チャンピオン獲得の条件 一覧表
ロズベルグが栄冠に輝くには、23日(日)の決勝でハミルトンに3位以上を取ってもらっては困る。そこで彼は、あれやこれやと発言してはハミルトンを刺激しているのだ。
22日(土)の予選でポールポジションを決め、またまた優位に立ったロズベルグ。サーキットを後にするハミルトンの表情は冴えなかった。
「彼は最近、いくつも失敗を犯している。いい兆候だよ。希望はある」とロズベルグ。
ロズベルグの心理戦について1996年にウィリアムズでF1世界王者になったデイモン・ヒルは、アブダビGPのようなタイトル決定戦には、頭の中をさぐるような戦いは付き物だとしている。
ヒルはイギリス『Daily Mail(デイリー・メール)』紙に、次のように語った。「むしろ、それしかないよ」
ロズベルグの父ケケは現役時代、鋼(はがね)のようにタフな精神力の持ち主だった。1982年にF1を制覇した父から助言を受けるのも当然だ。
「もちろん僕らは話し合ったさ」とロズベルグ。「今週末を迎えるにあたって、彼(ケケ)から助言を受けた。僕の有利に働くなら、何だってやってやるよ」
では、その目的は?ハミルトンの平常心を奪うことだ。
予選後にロズベルグは、次のように語った。「例えば今日やブラジルGPのようにルイスがプレッシャーを受け、その結果ミスを犯したら、そこに付け入るチャンスが生まれる」
2008年にマクラーレンでタイトルを獲ったハミルトンは22日(土)、そういったロズベルグのトリックには引っかからないと次のように話した。
「あんなの相手にしてられないよ」とハミルトン。「もし今日、僕がミスしたとしても、その数では彼と大差ない。実際にニコは、決勝用のタイヤで1周よけいに走っている。きっとそれが影響すると思う」
「僕のタイヤはレースに向けて完ぺきだ」とハミルトンはいう。「確かにニコは年間ポールトロフィーを勝ち取ったが、だったら僕は総合優勝の大杯をいただくよ」
「ニコはあの手この手を考え、ありとあらゆることをやってタイトル争いを何とかしようとしている。それが彼のやり口なら、僕はただ僕のままに、コース上で勝負するまでさ」